中国のハイテク都市「雄安」は何がスゴいのか 無人配送、顔認証…最新テクノロジーが集う
8月某日、北京市内から高速鉄道に乗り南に向かうことおよそ1時間半。小さな乗り合いバスに揺られ、バス停のない場所で降り、乗り捨てられたシェア自転車にまたがって小さな農村のあぜ道を進む。すると突然景色は、舗装された緑道と低層のビル群が理路整然と建ち並ぶ街並みへと変わった。
上海・浦東や深センに続く国家レベルの特区
ここは習近平政権が「千年の大計」として建設中の人工都市、雄安新区の中心地だ。
雄安は上海・浦東や深センに続く国家レベルの特区で、2017年4月に設立構想が明らかにされた。人口2000万人を超える首都・北京の交通渋滞や不動産価格高騰など「大都市病」の解決が主目的だが、最先端テクノロジーの実験都市という役割も持ち、中国を代表するテック企業が最新のイノベーションを競っている。
9月10日発売の『週刊東洋経済』は、「中国vs.日本 50番勝負」を特集。AI、半導体、工作機械など50の産業で、中国・日本企業の実力を徹底的に比較検証した。
EV(電気自動車)の充電スタンドがずらりと並ぶ駐車場には、中国IT大手・百度(バイドゥ)の自動運転車両が停車。雄安の中心地である市民センターを囲んで自動運転専用道路が敷かれ、自動運転技術の実用化に向けて日々実験が行われている。
近くを歩いていると、4輪駆動のロボットとすれ違った。中国EC大手・京東集団(JDドットコム)が実用化を進める自動配送ロボだ。「ユーザーが指定した場所にロボが着いたら、顔認証で荷物を受け取れる」(京東担当者)という。京東は無人コンビニや無人スーパーの実験店舗も出店し、実験を進める。
顔認証でチェックインや部屋の解錠ができる”未来のホテル”もある。今年7月に開業したばかりで、エントランス付近では一部工事が続いていた。通常の部屋で1人1泊約2万円と、やや高額だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら