中国のハイテク都市「雄安」は何がスゴいのか 無人配送、顔認証…最新テクノロジーが集う

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京東集団が実用化を進める自動配送ロボット。ユーザーが指定した場所にロボが着くと、顔認証で荷物を受け取れる(記者撮影)

市民センターには中国企業の視察団が多く訪れていたほか、周辺の村民や観光客の姿も目立った。実験都市として日本企業の注目度も高く、「商社や金融、電機大手などの調査担当者が続々と視察に訪れている」(JETRO海外調査部中国北アジア課の宗金建志氏)という。

中心部から一歩外に出ると、大規模な工事現場と広大な畑が広がる。「2035年までに高水準の社会主義現代化都市を建設する」という目標に向け、雄安の建設プロジェクトは静かに動き始めている。

深センと北京では民間からのイノベーションが生まれる

雄安新区は官主導で最先端の実験が進むハイテク都市だ。一方、民間企業による下からのイノベーションが相次ぎ生まれているのが、深センと北京である。

深センは通信機器の華為技術(ファーウェイ)やドローンのDJIなどの世界企業を生み、“中国のシリコンバレー”と呼ばれる。巨大IT企業・騰訊(テンセント)が本社を、前出の百度もグローバル拠点をそれぞれ構え、現地のスタートアップを次々と買収・出資して彼らの成長を加速させる、というエコシステムを形成している。

だが、ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)を中国で最も多く輩出しているのは北京。特に北京大学や清華大学など中国随一の名門校が位置する中関村には、創業まもないベンチャー企業が中国全土から大挙して押し寄せている。

この深センと北京・中関村についても現地リポートを掲載している『週刊東洋経済』9月15日号(9月10日発売)の特集は、「中国vs.日本 50番勝負」です。
中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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