日本の「移民政策」を成功させる真っ当な方法 政府の外国人労働者受け入れ拡大策は万全か
政府は、法務省が関係府省を束ねる司令塔的役割を果たすために、同省の入国管理局を拡充した「出入国在留管理庁(仮称)」の創設を検討している。この新組織には、社会統合政策を推進する専門の部署を置く必要がある。事実、先進国の大半では、社会統合を進める法律を制定し、担当組織を定めている。
ドイツでは、2005年1月に移住法が施行され、移民がドイツ語やドイツの法秩序・文化・歴史を学ぶ統合コースが始まった。統合コースを所管するのは、内務省に設置された連邦移住難民庁である。
ドイツには移住・難民・統合担当官という国務大臣のポストもあり、全国統合計画や統合に関する全国行動計画を所管している。また、ドイツは連邦制なので、州政府にも統合政策、特に教育政策の権限がある。
歴史に学んで制度設計を
韓国も社会統合へ向け、法律を制定している。2007年に在韓外国人処遇基本法を制定し、法務部(日本の法務省に相当)の出入国管理局を出入国・外国人政策本部に改編した。
この結果、出入国管理政策だけでなく、社会統合政策を所管するようになった。そして、法務部が司令塔的役割を担い、外国人が韓国語や韓国の経済、社会、法律などを習得できるプログラムを実施している。
台湾でも、すでに移民の受け入れ体制が整備されている。1999年に入出国及移民法が制定され、2007年には内政部に「入出国及移民署(2015年に移民署に改称)」が設置された。移民署では、「多元文化の尊重」や「移民の人権保障」というビジョンを掲げ、社会統合政策を推進している。
先進各国が外国人労働者の受け入れを競って進める中で、日本も早急に社会統合(多文化共生)に関する制度設計を考えるときがやってきた。外国人労働者から見て魅力的に映る国になるためにも、諸外国や国内の自治体が積み重ねてきた取り組みを参考に、体制整備を進めていく必要がある。
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