日本の「移民政策」を成功させる真っ当な方法 政府の外国人労働者受け入れ拡大策は万全か

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日本社会は外国人労働者が働きやすい環境を築けるか。写真は本文と関係ありません(写真:kikuo/PIXTA)  
政府が外国人労働者の受け入れを積極的に進める動きを見せている。世界各国で移民政策がつまずく中、日本の受け入れ政策に問題はないのか。移民政策に詳しい明治大学国際日本学部の山脇啓造教授が解説する。

外国人労働者の受け入れへの関心が急速に高まっている。今年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)の中で、新たな外国人材の受け入れを進める方針が示され、2019年4月からの受け入れに向けた準備が急速に進んでいるからだろう。

どの産業分野で外国人労働者が必要なのか——。新方針の焦点はここにある。報道によると、建設、造船、農業、介護、宿泊のほか、水産、外食など、合わせて十数業種が候補に上がっているという。骨太方針では、こうした産業で活躍できる、一定の技能と日本語能力を有する外国人に新設される在留資格を付与するとしている。

今回、新たな在留資格を有する外国人に認められる在留期間は通算で5年を上限とし、家族の帯同は基本的に認めないという。技能実習生の場合は、最低3年間の技能実習後、新たな在留資格への移行が可能となり、合わせて8年から10年の滞在が認められることになる。

一方で、新たな在留資格によって滞在中に、高い専門性を有すると認められた人材については、現行の専門的・技術的分野における在留資格への移行によって、在留期間の上限を付さず、家族帯同を認めることを検討するとしている。

外国人と共生する社会を構築できるか

外国人労働者の滞在が長期化すると、それに応じた政策の必要性が高まる。外国人の受け入れに関わる政策は、どのような外国人の入国をどのぐらい認めるかにかかわる「出入国管理政策」と、入国した外国人を社会の構成員として受け入れ、共生社会を築くことをめざした「社会統合政策」に分かれる。

そして、外国人労働者の受け入れが成功する鍵は社会統合政策にある。政府も社会統合政策の重要性をある程度、認識していると思われる。やや長いが、骨太方針の中でも大切な箇所を引用しておく。

我が国で働き、生活する外国人について、多言語での生活相談の対応や日本語教育の充実をはじめとする生活環境の整備を行うことが重要である。
このため、2006 年に策定された「『生活者としての外国人』に関する総合的対応策」を抜本的に見直すとともに、外国人の受入れ環境の整備は、法務省が総合調整機能を持って司令塔的役割を果たすこととし、関係省庁、地方自治体等との連携を強化する。
このような外国人の受入れ環境の整備を通じ、外国人の人権が護られるとともに、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく。
(「骨太方針」28ページより抜粋)
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