毎日更新される「エッセイ」&「ライフストーリー」をのぞいてみると、エッセイでは、「池上彰の映画で世界がわかる!」「ピーター・バラカンが語る、新たな音楽との出会い」「山本益博のずばり、落語!」など興味深いタイトルがずらりと並ぶ。
「ライフストーリー」には、松本幸四郎の「私の歌舞伎人生」、大林宣彦の「映画は風化しないジャーナリズム」「黒沢清、10人の映画監督を語る」などなど、これまた読み手の好奇心を刺激する。
クラシックジャンルに目を向けてみると、日本を代表する作曲家にしてクラシックを誰にでもわかりやすく解説する達人、三枝成彰のエッセイ「知って聴くのと知らないで聴くのとでは大違い!」と、今年デビュー25周年を迎えた人気ギタリスト村治佳織のライフストーリー「映画のような私の人生〜いつもギターが一緒だった〜」が楽しめる。これらのコンテンツは、ファンならずとも読んでおきたい面白さだ。
さらには、「お好み登録」や「ご贔屓登録」の設定によって、ジャンルごとのオススメ情報が毎週届くほか、好きなアーティストや俳優のニュースや公演情報などをもれなくチェックする機能も用意されている。「みたい」「みた」&「ブックマーク」を駆使した「マイノート」機能では、自分専用のエンタメページを作ることができるなど、まさにエンタメ生活を送るために必要な機能がてんこ盛りといった趣だ。
「マルぴ」や「はみだしYOUとぴあ」など、随所にかつての面影を残す仕掛けも、紙の時代を知る読者には懐かしさの極みではないだろうか。
“偶然の出会い”こそが「ぴあ再び」の原動力
さて、実はこの「アプリ版ぴあ」、誰でも普通に利用できるのだが、現在はまだ本創刊前のテスト中ということだ。告知に関しても、今年6月末のスタートに際して、ぴあの株主向けに送られた“「ぴあアプリ」お試しのご案内”以外は一切広報活動をしていないという。
つまり知る人ぞ知る状態の中での公開実験中といった趣なのだ。では本創刊はいったいいつになるのだろう。うわさによれば、年内にはすべてのテストや準備を終えて正式に本創刊となる予定だとか。これはなにやらテスト走行を公開しながら発表につなげるクルマ業界の手法にも似ているよう感じられる。といいつつ、すでにかなりのダウンロード数を記録している様子なのだから期待は高まる。
果たしてその完成型とはいったいどのようなものなのだろう。今は首都圏限定の公演情報も、いずれは全国規模になるだろうし、メンバー登録者(ぴあニスト)へのさらなるサービスアイテムの追加も予想される。逆に現在無料で読める連載バックナンバーは、本創刊以後は有料コンテンツとなるなど、変化の度合いは大きそうだ。
ここまで書いてきて、「ぴあ」の価値とは一体なにかをもう一度考えてみると、その最大の特徴は“エンタメ情報の網羅性と俯瞰性”にあるように思えてくる。
メジャーもマイナーもない、すべての情報をフラットに並べて俯瞰すること。そしてそこから生まれる“偶然の出会い”の創出。それこそが「ぴあ」の強みであり、専門分野に特化した現代のネット社会に欠けているものではないだろうか。
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