日本橋に登場「音楽が凄いホステル」の舞台裏

「東京に音楽を根付かせたい」経営者の男気

ふらりと立ち寄って音楽を楽しめるのがCITANの魅力だ(写真:Backpackers' Japan)  
近年、洒脱で個性的なホテルが東京に相次いでオープンしている。婚礼大手テイクアンドギヴ・ニーズが手掛ける「TRUNK(HOTEL)」や、ストライプインターナショナルが送り出した「koe」がその代表格だろう。
これらとは一線を画し、独自の存在感を放つのが東京・日本橋の馬喰横山に2017年3月にオープンした簡易宿泊所(ホステル)の「CITAN(シタン)」だ。このCITANを経営するバックパッカーズジャパン代表取締役の本間貴裕さんを口説き、なぜCITANをオープンしようと思ったのか、その思いを綴ってもらった。 ホテル業界関係者ならずとも必見のコラム&エッセイだ。

その日も負けた。勝負に弱いとはまさにこのこと。オーストラリア一周の旅をする中でふと立ち寄ったケアンズのリーフカジノ。旅の資金にと一生懸命貯めたお金がルーレットに、スロットに、カードゲームに見事な勢いで吸い込まれていく。

肩を落としてカジノを出ようとしたとき、どこからともなく音楽が聞こえてきた。アップテンポのジャズが心地よく響く。落ちた気分を紛らわせようと音のするほうに向かう。

初めて目にした「自由で豊かな空間」

音のありかを目にしたとき、鳥肌が立った。そこはカジノの横にあるバーラウンジ。黒人の5ピースバンドがいちばん奥のステージ上で演奏している。トランペットとトロンボーン、グランドピアノ、ベースにドラム。黒いスーツにハットで全員決めて、ステージに堂々と立つ5人。

2017年3月のオープン以来、東京の新たな注目スポットとなったCITAN(写真:Backpackers' Japan)

イヤフォンでは味わえない、身体で感じるドラムの振動。思わずにやけるほどに音が伸びるトランペットの高音。心地よく、軽快なピアノのリズム。奏者たちの楽しそうな笑顔。

そして何よりも、その音楽の前に広がるラウンジの景色に心を奪われた。欧米人の若い男女たちがステージの前で楽しそうに身体を揺らし、少し離れたソファーでは老夫婦が穏やかな笑顔で会話を楽しんでいる。

中国からだろうか、アジア人の家族は食事をとっていて、その近くでは子どもがうれしそうに会場を走り回っていた。店の奥のほうでキスをするカップルも。

こんなにも自由で、豊かな空間を見たことがなかった。

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