大手鉄道が続々参入「札幌ホテル戦争」の行方 JR東も参戦、全国屈指の民泊件数で大乱戦に
たくさんの荷物を抱えキャリーバッグを引いて歩くグループ客。駅前広場でポーズを決めて写真に収まるカップル。JR札幌駅周辺に外国人観光客の姿が絶えることはない。
駅の上にそびえ立つ「JRタワーホテル日航札幌」は札幌駅周辺におけるランドマークホテルだ。札幌では1934年開業の「札幌グランドホテル」と1964年開業の「札幌パークホテル」という老舗が高い評価を得てきたが、そこへJRタワーホテル日航札幌が2003年に開業すると、瞬く間にトップクラスへの仲間入りを果たした。
このホテルを運営するのはJR北海道(北海道旅客鉄道)。同ホテル以外にもJR北海道は札幌市内に2つのホテルを抱えている。本業の鉄道事業が赤字に苦しむ中、ホテル事業は貴重な収益源だ。
札幌には今後イベントが目白押し
札幌市内はホテル建設ラッシュだ。街を歩くと、至る所で建設のつち音が鳴り響く。
過ごしやすい夏、そして「さっぽろ雪まつり」が開催される2月上旬。この2つの時期に全国から多くの観光客が押し寄せる。最近ではインバウンド(訪日外国人客)も加わり、最需要期のホテル不足に拍車がかかった。
市はMICE(国際会議や見本市)の開催増を狙い2025年度に大型のMICE施設を整備するほか、2026年または2030年の冬季五輪の招致に意欲を示す。2030年度には北海道新幹線の札幌開業が控える。将来にわたり札幌への訪問客増が期待できる安心感もホテル建設が増える理由の1つだ。
「以前なら高層マンションが建つような場所にも、最近はホテルが建てられるケースが多い」と日本不動産研究所の遠藤公正・北海道支社長は話す。三井不動産の事例がまさにそうだ。同社のグループ会社が運営する「三井ガーデンホテル札幌」の隣の敷地はもともとマンション用地として同社の別のグループ会社が取得したが、旺盛なホテル需要を受けて、ホテル建設に切り替えた。2020年開業予定だ。
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