大手鉄道が続々参入「札幌ホテル戦争」の行方 JR東も参戦、全国屈指の民泊件数で大乱戦に
鉄道会社のホテル開業はこれまで沿線外であっても首都圏、近畿圏が中心になっていたが、ホテル開業ラッシュが続き、3大都市圏以外の地方都市にも目が向き始めたといったところだろう。
新規開業するホテルは宿泊特化型が目立つ。古くから営業するフルサービス型ホテルはどう迎え撃つのか。1972年の札幌冬季五輪に合わせて開業した札幌プリンスホテルは、「当ホテルは日本人の固定客やグループ客が多く、インバウンド比率は市内の平均よりも低い」(プリンスホテルの望月潔・北海道エリア統括総支配人)として、宿泊特化型と直接競合することはないと見る。
一方、1996年から展開する札幌エクセルホテル東急の八島利幸総支配人は、「繁忙期はともかく、閑散期は明らかに供給過剰になる。近隣の宿泊特化型ホテルの客室単価下落が当ホテルにどう影響を与えるか」と心配顔だ。
2020年ごろまでに札幌市内に新規開業するホテルの客室数を合計すると「およそ3500室」(現地ホテル関係者)。この数字は市内全体の客室数2万7119室(札幌市調べ)の約13%に相当する。日本不動産研究所の遠藤氏は「これで供給が止まれば問題ないが、このレベルの供給がさらに2~3年続くと供給過剰になりかねない」と警鐘を鳴らす。
勝ち残りのカギを握るのはやはり「食」だ。「札幌を訪れる観光客は食に関心が高いことから、食事に力を入れることで、ほかのホテルと差別化したい」(八島総支配人)。
民泊の物件数増も脅威に
民泊の動きも脅威だ。札幌市内で申請された民泊の物件数は7月13日時点で698件。全国の主要都市の中でも断トツに多い。
繁華街「すすきの」に近く、ホテルが集積するエリアには1棟で67件も登録されたマンションもある。「キャリーバッグを引いたアジア人観光客が以前から出入りして、気になっていた。宿泊料の安さで民泊に流れる観光客が増えるのは脅威」と、同マンションの近くにあるホテルの関係者は警戒する。
宿泊特化型ホテルや民泊が増える一方で、外資系ラグジュアリーホテルの進出がないのも札幌の特徴だ。駅前の再開発用地や大通公園沿いの土地に外資系ラグジュアリーが出店するといううわさもあるが、「ニセコや富良野などの観光地と違って、札幌自体に長期滞在のニーズが少ないので、ラグジュアリーは進出しにくい」(現地ホテル関係者)という指摘もある。
とはいえ、外資系が多数進出すれば観光地としての格も上がる。今後は宿泊客が長期滞在したくなるような仕掛けも必要になってくるだろう。
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