大手鉄道が続々参入「札幌ホテル戦争」の行方

JR東も参戦、全国屈指の民泊件数で大乱戦に

札幌市内ではもともと、関東の大手私鉄の系列ホテルが多い。西武ホールディングス傘下の「札幌プリンスホテル」、京王電鉄系の「京王プラザホテル札幌」、東京急行電鉄系の「札幌エクセルホテル東急」「札幌 東急REIホテル」といった具合だ。今後新たに開業するホテルは数多いが、とりわけ目立つのがまたしても鉄道系である。

JR東日本の「ホテルメッツ札幌」は2019年2月に完成予定だ(記者撮影)

「まさか」――。JR東日本(東日本旅客鉄道)の札幌進出にホテル業界関係者の多くが驚いた。「ホテルメトロポリタン」「ホテルメッツ」など、これまで同社がホテル業で進出するのは東日本エリア内に限られていた。

ところが、2019年2月、札幌駅の北口から東側に徒歩2分程度離れた場所に「ホテルメッツ札幌」を開業する。駅の東側には北海道新幹線の札幌駅が設置される予定で、2030年度に新幹線が開業すれば利便性はさらに高まる。この場所を選んだのはこうした将来性を見込んでのことだろう。

JR各社の中ではJR九州(九州旅客鉄道)が東京や沖縄といった九州エリア外に積極的に進出している。JR東日本の今回の札幌進出はその動きに倣ったものだ。東北新幹線は北海道新幹線とつながっているだけに、投資アナリストの間では、「今後ホテルを増やすにしても、出店先は北陸新幹線の金沢などJR東日本の営業路線の延長線上ではないか」という見方もある。これに対し、JR東日本は「ブランド力を生かせる場所ならエリア外にも出る」方針で、全国の主要都市や海外にも果敢に攻めていきそうな意気込みが感じられる。

なぜエリア外に進出するのか

JR東日本が進出する北口には、京王電鉄が「京王プレリアホテル札幌」を2019年夏に開業する。首都圏を中心に展開する宿泊特化型の「京王プレッソイン」よりもグレードが高めという。

京王プラザホテル札幌は1982年開業と札幌では老舗のフルサービス型ホテル。京王電鉄は札幌駅北口に宿泊特化型ホテルを2019年夏に開業する計画だ(記者撮影)

同社はレストランや宴会場を備えたフルサービス型の京王プラザホテル札幌を1982年に開業済み。「地の利に加え、京王プラザのノウハウを取り入れて朝食を強化するなど、商品力で勝負する」(ホテル戦略部の吉田修課長)。

福岡県が地盤の西日本鉄道も札幌駅近くにホテルを開業する予定だ。観光需要に加え、「地域経済の中心地として一定のビジネス需要も見込めるため、以前から出店先の最重点都市としてチャンスをうかがっていた」(ホテル事業本部の加藤正幸副本部長)。

札幌にゆかりのない鉄道会社の系列ホテルが続々と進出する。その理由について、ある鉄道会社の幹部が明かす。「もともと鉄道会社は自社の沿線にホテルを造ってきたが、ホテル運営のノウハウは沿線外でも生かせる。一度沿線外に出ると、全国からさまざまな案件が持ち込まれるようになる」。

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