日本橋に登場「音楽が凄いホステル」の舞台裏 「東京に音楽を根付かせたい」経営者の男気
この2つの工夫により、音量を上げても音の粒一つひとつがはっきりと聞こえるようになった。CDやレコードに録音された微細な音やライブの息遣い、音楽のニュアンスをより正確に感じられる。
また、このような音がはっきりとした空間では、会話がしやすいという特徴がある。耳が、音楽の音と会話の音をはっきりと識別できるのだ。まさに、音楽と会話が共存できる空間である。
2017年3月、ずっと頭の中にあったあの景色を思い描きながら、馬喰横山にCITANをオープンした。
可能性を信じ、採算は二の次
どんな人でも気軽に立ち寄れるようにと、CITANのラウンジはエントランスフリーで営業を開始した。毎週末DJがレコードを選曲し、またはライブで生音を聴ける。
料金を設ければ、音楽が好きな人やDJが目当ての人にしか来てもらえない。それでは限定された人のための音楽になってしまう。私が目指す最高のBGMは、つまり街を歩く誰に対しても開かれていてほしかった。
正直、エントランスフリーで音楽をやっていくのは結構しんどかった。安く済むからといって身内で適当な音楽を流すわけにはいかないし、高い出演料を払ってプロのアーティストを呼び続けては運営が立ちいかなくなってしまう。
でも、オープンから1年半、なんとか工夫を重ねながら、たくさんの人に助けられながら、一度も休まずに毎週DJを呼んで音楽を流し続けた。多くのライブを企画した。採算は二の次に、可能性を信じてやり続けた。そしてやっと最近、継続できる感触が売り上げから伝わってくるようになった。
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