ロンボク地震、被災者救援が進まぬ深刻理由 インドネシア政府が「国家災害」に認定せず

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大きな地震が相次いで発生したインドネシア・ロンボク島(Antara Foto/Ahmad Subaidi/via REUTERS)

大阪北部地震、北海道地震など日本ではこの夏、規模の大きい地震が相次いで発生した。日本のメディアの報道はどうしても、自国の自然災害ばかりを報じがちだが、日本と同様の地震大国であるインドネシアでもこの夏は大きな自然災害が襲った。

7月29日、ロンボク島でマグニチュード6.4規模の地震が発生し、同島北部では多くの住居や建物が崩壊した。その後8月5日、8月19日とマグニチュード6.9クラスの地震が相次いで襲い、死者550人以上、負傷者7700人という大惨事になった。本稿を執筆している9月24日時点で、自宅に住めなくなった住民約35万人が避難所生活やテント生活を余儀なくされている。

被災地では衛生状態が悪化している。医薬品の配給も遅れていることからマラリアが発生し、昨年の同時期と比べ、2倍近くの感染者が発生する事態にもなっている。

「国家災害」に指定することをかたくなに拒否

ところが、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は今回のロンボク地震を「国家災害」に指定することをかたくなに拒否している。これによって、ロンボク島では、実質的に、海外からの救援隊、援助物資などを受けいれることができない状態が続いている。

ジョコ・ウィドド大統領が「国家災害」指定をためらっている理由は、ロンボク島とその西に隣接するバリ島がインドネシア有数の観光地であることが一因とされている。被災者救援より観光産業を優先させたことになる今回の選択には、2019年4月に行われる大統領選挙が色濃く関係しているとの見方が強まっている。

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