人気爆発でも「チューハイ」が儲からない理由 「新ジャンル」からの流入が加速しているが…

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国内飲料シェア首位の日本コカ・コーラも本格的にチューハイ市場に参戦する構えだ。5月には九州限定で缶チューハイのテスト販売を開始。売れ行き次第では全国展開も視野に入れる。

ビールや焼酎市場が年々縮小する中、成長を続けるチューハイに力を入れるメーカー各社。だが、その裏で頭を悩ます問題がある。ビール類に比べて採算が悪く儲からない、という点だ。

価格競争が過熱

野村証券の藤原悟史アナリストの試算によると、製品にもよるが、350ミリリットル缶1本当たりのチューハイの限界利益はビールより30%も低い30円程度。新ジャンルと比べても14%ほど低い。ビール類からの流入が増えれば増えるほど利益が減っていく、まさに“豊作貧乏”になりかねない状態なのだ。

なぜチューハイは低収益なのか。要因の一つが、熾烈な価格競争だ。定価で販売されることの多いコンビニでは140円前後のチューハイでも、スーパーやドラッグストアでは110円前後まで価格が下がる。特売では100円を切ることもざらだ。さらに1本90円を切るようなプライベートブランドを次々と投入する小売企業も出てくるなど、年々安売りに拍車がかかっている。

スーパーでは競争の激しさゆえ、「売り場確保や安値維持のための販促費(卸業者や小売店に支払うリベートなど)がほかの酒類に比べてかさむ」(酒類メーカー首脳)。別のメーカー首脳も、「少しでも広告費を積み増すとまったく儲からなくなる」と嘆く。

原価が高いこともネックだ。他社製品と差別化するために使われる果汁が収益を圧迫する要因になっている。実際、「原価の中で果汁が占める割合は高い」(サントリースピリッツの佐藤氏)。中には、アサヒビールのように収穫直後の新鮮な果実を使用するメーカーもある。チューハイは味の種類が多く、ビール原料の麦芽やホップに比べて調達面で規模のメリットも働きにくい。

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