予想外の「3歳の壁」に母たちが動揺するワケ 働く母が抱く「幼稚園」への羨望と葛藤

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また、夏休みや年末年始といった長期休みが多いことも課題だ。夏休みにも預かりを実施してくれる園もあるものの、ここではますます「〇〇ちゃんも××ちゃんもいない」問題が膨らんできて、ほぼ年末年始以外は休みなしの保育園のありがたさをひしひしと感じることになる……。

第1子が幼稚園に転園後、第2子も同じように2歳児までの保育園に通わせているある母親は、第1子が通っている幼稚園自体は気に入っているが、第2子については別の保育園への転園を検討するという。

「長期休みは一日中預ってもらうけど、(専業主婦家庭のお友達は来ないなどの理由で)子どもに嫌がられてしまうと結構厳しくて。下の子は保育園にするか幼稚園にするか。保育園だとほかの子たちも夕方までしっかり残るし、みんながいつもそこにいるという感じで安定感があるかな、と思うと悩ましい」

刺激を与えたい

共働き親の中には、「やむをえず」ではなく、「幼稚園のほうが教育内容がいいのでは」「園庭がほしい」など幼稚園にわざわざ転園するケースもある。

「幼稚園に通っている話とか聞くと、幼稚園って保育園よりも一人ひとり手間をかけてくれないから逆に自立するみたいな話を聞いて。TVの時間が減ったり制作に興味持ったとかいう話を聞くと、小学校の前に幼稚園を経験させるのもありかなという気持ちになった」

保育園は福祉施設で厚生労働省管轄、幼稚園は教育施設で文部科学省管轄という違いはあれど、実際文章化された設置要領や教育方針には実はほとんど差がない。しかし、幼稚園=教育、保育園=お世話というイメージは保護者の中にも強く、また「先生たち」の意識上も若干異なるのかもしれない。保育士の免許、幼稚園の教員免許を持つある母親は次のように話す。

「保育士の免許は専業主婦をしていたときにとったんですけど、内容が教育的というよりは、どうやったらケガをさせないかとか、お世話をするみたい内容が多いんですよね。幼稚園の教員免許だとどうやったら子どもの発達をうながせるみたいな内容を勉強していたので違うなと」

実際に保育園から幼稚園に転園した子どもの母親は次のように話す。

「認可が公立で、ホントにお迎えが来るまでただ預かっているだけって感じがして。迎えに行っても子どもが暇そうにしているんです。先生も幼稚園の先生と保育園の先生は全然雰囲気が違う。幼稚園は子どもを楽しませようというか。教室にはピアノがあって、歌をうたったり、工作したりを幅広くしているのかと思って。実際、子どもは楽しそうにしています」
「保育園は事故がないようにとかケガをしないようにとか。安全に預かることを大事にしているから、ケガをしたときにすごい先生に謝られるんですよ。全然先生が悪くないときでも、行き届いてなくて本当に申し訳ありませんでしたみたいに。幼稚園はケガしてもしょうがないという感じで、目的が違うというか子どもに集団行動をさせるとか、いろいろ体験させることを主眼に置いていて、保育園とは違う。大人がケガさせないようにってびくびくしている環境と、のびのび遊べるような環境の違いは感じました」

確かに安全第一ではあり、どちらがいいと思うかは個人差もあるだろう。そして、保育園がすべてこのような姿勢で、幼稚園がすべてすばらしい環境とも限らない。子どもをのびのびと遊ばせ、楽しませるプログラムを実施している保育園ももちろんたくさんある。

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