予想外の「3歳の壁」に母たちが動揺するワケ 働く母が抱く「幼稚園」への羨望と葛藤

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私の長子も2歳児までの認可外保育所に通っていたのだが、通っていた園が気に入っていたので、1歳児や2歳児の年度初めでの転園は図らず、そのまま卒園を迎えることになった。しかし、その判断の甘さに反省したのは、子どもがもうすぐ3歳児になるという秋。「来春、3歳児でどこにも入れなかったらどうしよう」という不安が徐々に押し寄せてきた。

ここで預けられなければ、仕事ができなくなってしまうかもしれない。当時第2子も生まれたばかりで、次の4月から保育園をスタートさせたいと思っていたので、二人分の保活が必要だった。0歳児が保育園に入れなかった場合は育休を延長したり、何とか家で過ごしながら在宅勤務もできそうだったが、しゃべり始めで活発な3歳児を家に抱えていては、とても仕事などできない。

ヒヤヒヤしながら保育園の申し込みをし、同時に「すべり止め」として預かり保育付きの幼稚園も見て回ることにした。幼稚園の説明会や見学は早いところでは夏前から始まっており、大抵は平日の昼間。この過程で私は幼稚園の世界にはじめて足を踏み入れることになった。

その後、結局わが家はきょうだいが別園になってしまったものの二人とも認可保育園に入ることができた。しかし3歳前後で、同じように卒園を迎えるという理由、あるいは、就学前まで通える保育園に在籍していながらも、幼稚園への転園や受験を考える親たちがいることを知り、取材を始めた。

「どうして他の子はママが15時にお迎えにくるのに…」

共働きで、幼稚園に通わせる親は、どのように「3歳の壁」に直面するか。まずは、私が陥ったような小規模保育などの卒園後の選択肢としての、「やむをえずパターン」。この場合、幼稚園を選ぶ基準は第一に「預かり保育がある」ことや家からの距離など、親にとっての利便性になりがちだが、それでもやはり保育園とは勝手が違う。

預かり保育付きの幼稚園に行かせはじめた、共働き家庭の声を聞いてみよう。

「(子どもが)なんで私だけが預り保育に行かないといけないの、みたいなことがどんどん増えてきたんですよね。知恵もついてくるから、一番にお迎えに来てとか。今日は何番だったとかだんだん強くなってきて。友達関係が結構ネックで、(誰ちゃんがいないから)つまらないとか言い出す……」
「幼稚園だから、もともとの教育には力を入れてるけど、預りに関してはただ預かってるだけの状態になっていて、正直あまりプログラムもないし、先生も少ないし、ただ見てるだけみたいな。保育園とは少し違うところがあるかな」

どういうことか。幼稚園の時間帯(9時~14時半ごろ)は担任の先生が見てくれて、「お遊戯」などのプログラムがある。ひとりひとりの様子を把握してくれている感覚があるという。一方、預かり保育(7~9時、15~18時)の時間は、担任の先生は関与せず「預かり保育」の担当者に変わる。

ここでは学童に近いような「見守り」中心で、学年別でなく、プログラムがないことも多い。仲のいい友達が帰ってしまう、先生が変わる、保育園と違い基本的には昼寝なしで夕方までいることになる……など、幼稚園ゆえの壁にぶつかるケースもある。

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