列車で眠っていたら、とんでもないメモが!
今年の夏休みは、久しぶりにイタリアで過ごした。10数時間のフライトを経て、ローマから地元へと向かう鈍行列車に乗り込んで、ついウトウト、気づいたら爆睡してしまった。目が覚めて、ボックス席の折り畳み式テーブルに置いてあった小説を手に取って読もうとしたら、見覚えのない紙に気づく。
ビクビクしながら中身を見たが、その内容にびっくり仰天。なんと! 走り書きで名前、電話番号とメッセージが書いてあったのである。車両を見回したが、そっか、ここはイタリアなのだ、とわれに返って紙を丸めてごみ箱にポイ。悪い気がしないけれど、展望の見込みはないにもかかわらず、軽々しく電話番号を教えちゃうなんて、その勇気に感心してしまう。わが祖国の「アモーレ精神」がいまだにご健在で何よりだ。しかし、なぜイタリアがロマンチストとチャラ男を大量生産する国になったのだろうか。
根拠のない持論だが、不朽の名作をこの世に残した、ダンテ・アリギエーリ大先生のせいではないかと思う。地獄、煉獄、天国を旅する『神曲』はもちろんのこと、甘美なる色恋の歌を集めた詩文集『新生』も代表作の1つだ。
イタリアでは小・中・高等学校、合計13年の義務教育の間、そのパッションあふれる恋についてたたき込められ、抜き打ちテストもさんざん受けさせられる。そのせいでトラウマになっている人が多いが、注釈とにらめっこをして過ごしていると、不本意ながらもその記憶が脳裏に焼き付いたまま成人するわけだ。
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