歴史に残る「純愛ストーカー」が見た切ない夢

イタリア文学の父、ダンテの妄想癖

すれ違ったのみで、一言の会話さえ交わさなかった相手に恋い焦がれ、思い続けた詩人ダンテ(写真:bpperry/iStock)
イタリアで生まれ育ったのに、ひょんなことから日本の古典文学にどっぷりとハマった、本連載の筆者、イザベラ。美しい靴と、ドロドロとした女の情念が大好物というイザベラには、また自由自在に場所や時代を空想上(妄想上?)でワープできるという特技がある。
今回は「日本人が知らない古典の読み方」の特別編として、もしイタリアが生んだ唯一無二の純愛ストーカー、もとい、詩人ダンテと、日本が生んだ恋愛の権化「平安レディス」が会話できたら、というイザベラの妄想ワールドへお連れしよう。

列車で眠っていたら、とんでもないメモが!

今年の夏休みは、久しぶりにイタリアで過ごした。10数時間のフライトを経て、ローマから地元へと向かう鈍行列車に乗り込んで、ついウトウト、気づいたら爆睡してしまった。目が覚めて、ボックス席の折り畳み式テーブルに置いてあった小説を手に取って読もうとしたら、見覚えのない紙に気づく。

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ビクビクしながら中身を見たが、その内容にびっくり仰天。なんと! 走り書きで名前、電話番号とメッセージが書いてあったのである。車両を見回したが、そっか、ここはイタリアなのだ、とわれに返って紙を丸めてごみ箱にポイ。悪い気がしないけれど、展望の見込みはないにもかかわらず、軽々しく電話番号を教えちゃうなんて、その勇気に感心してしまう。わが祖国の「アモーレ精神」がいまだにご健在で何よりだ。しかし、なぜイタリアがロマンチストとチャラ男を大量生産する国になったのだろうか。

根拠のない持論だが、不朽の名作をこの世に残した、ダンテ・アリギエーリ大先生のせいではないかと思う。地獄、煉獄、天国を旅する『神曲』はもちろんのこと、甘美なる色恋の歌を集めた詩文集『新生』も代表作の1つだ。

イタリアでは小・中・高等学校、合計13年の義務教育の間、そのパッションあふれる恋についてたたき込められ、抜き打ちテストもさんざん受けさせられる。そのせいでトラウマになっている人が多いが、注釈とにらめっこをして過ごしていると、不本意ながらもその記憶が脳裏に焼き付いたまま成人するわけだ。

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