一方で、上層からは”脳”となるチップに強みを持つ半導体業界の巨人たちが侵攻してきている。その中心がアメリカ勢。特に勢いがあるのが、画像処理用半導体大手で、近年はAIの分野で名をとどろかせているエヌビディアだ。トヨタや、ドイツのアウディやフォルクスワーゲンといった世界中の自動車大手が同社のAI技術を求め、提携関係を結んでいる。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、「自動運転車では、チップの処理能力こそが安全性につながる」と語る。2018年1月には「DRIVE Xavier(エグゼビア)」と呼ばれるSoCを発売した。ルネサスが事業展開する領域にも足を踏み入れてきた。
半導体の王者だったインテルも2017年に自動運転向けの画像認識に強みを持つイスラエルのモービルアイ社を買収。さらに同社の技術を活用したSoCも開発、2020年までの製品化を目指すなど、車載ビジネスの取り組みを加速させている。
スマホ向けなどの通信半導体に強いクアルコムも、車載半導体首位、オランダのNXPセミコンダクターズを買収することで上層から下層まで支配することを画策していた。中国独占禁止法当局の承認が長期化したことで今年7月に買収を断念したが、車載に狙いを定めていることは明らかだ。
半導体の巨人たちとは戦わないのか
このように、大手が参入しているAIやSoCなど上層が車載半導体市場の激戦区となっている。ただ今回のルネサスの買収は、この激戦区とは直接関係しない。ルネサスから見れば下層に当たるアナログ半導体の買収だ。
IHSグローバルの杉山和弘アナリストは「上層へ向かうのは難しいということだろう」とみる。インテルやエヌビディアの戦略はデータセンターやPCなどで用いられる最先端部品を自動車向けに応用するというものだ。一方でルネサスの半導体は自動車向けのみ。そもそも対象としている市場の大きさが違うため、かけられる開発費もケタ違いだ。
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