半導体、「微細化」止まり、材料屋が儲かるワケ サムスン、東芝が動き出す「物量作戦」の裏側

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半導体市場は空前の活況が続き、「スーパーサイクル」に突入したという見方も広まっている(写真:tsukat/PIXTA)

「韓国サムスン電子の役員が、製造装置メーカーの下請けにまで乗り込んで、はっぱをかけたらしい」――。

サムスン電子といえば、2017年に米インテルを追い抜き、半導体の売り上げで世界首位に立つなど拡大路線を推し進めている。そんな世界のトップメーカーが下請けの下請けに乗り込んだとうわさが流れるほど、半導体業界は活況を呈している。

業界の統計機関が出した世界半導体市場統計(WSTS)によると、半導体の販売額は2017年に前年比21.6%増の4122億ドル(約45兆円)を記録。2018年も同12.4%増の4634億ドルと2年連続の2ケタ成長を見込んでいる。

業界ではこれまで、20%を超えるような成長の後には、大幅な成長鈍化が起こる「シリコンサイクル」という好不況の波に悩まされてきた。ところが近年は半導体メーカー、半導体製造装置、半導体材料など、すべての領域で受注に対応しきれない好調ぶりだ。そのため、過去の苦境を知る業界関係者たちにも、「これまでのシリコンサイクルを超えた”スーパーサイクル”に入った」(野村証券和田木哲哉アナリスト)という見方が広まっている。

メモリが活況な中、微細化が鈍化

現在、もっとも好調なのがサムスンや東芝メモリといった半導体メーカーだ。特にメモリ半導体は、これまでPCやスマートフォンのデータ記憶に用いられてきたが、最近ではデータセンターのサーバー向けの用途が拡大している。

あらゆるものがインターネットにつながるIoT時代では、世界に流通するデータの量は急増していく。通信機器の製造・販売を行う米シスコが公表したレポートによれば、2016年から2021年の5年の間にモバイルネットワーク上でやり取りされるデータ量は7倍まで増加する見通しだ。

流通するデータの量が増えれば、それを保存する倉庫が必要になる。倉庫の役割を担う大規模なデータセンターは2021年までにほぼ倍増する見込み。しかもデータセンターでは、およそ5年ごとにサーバーの入れ替えが必要とされるため、膨大なメモリ半導体の需要が生まれる。

メモリ半導体の分野で断トツのトップを走ってきたサムスンは、2017年度、半導体部門の売上高7兆4260億円(前年比45%増)、営業利益は3兆5200億円(同259%増)と異次元の利益水準を見せ、売上高でもついに業界首位に上り詰めた。2位の東芝メモリや4位の韓国SKハイニックスもサムスンの追撃に必死だ。

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