半導体、「微細化」止まり、材料屋が儲かるワケ

サムスン、東芝が動き出す「物量作戦」の裏側

空前の活況に沸くメモリ半導体メーカーだが、技術的な課題は高まっている。半導体の進化とも言える「微細化」がいよいよ限界に差し掛かっているのだ。

半導体はこれまで、半導体回路の線幅を細くし、回路を小さくする「微細化」によって省電力化、高性能化、面積の縮小といった技術革新を進めてきた。

これを経験則的に言い表したのが大手メーカー・インテルの創業者ゴードン・ムーア氏が1965年に提唱した「ムーアの法則」だ。これは「半導体の集積率が18カ月で2倍になる」というもので、これまで半導体メーカー各社はこのペースを維持するように微細化を進めてきた。

しかし、メモリ半導体はこれ以上の微細化を行うと性能面で支障をきたすレベルまで微細化を遂げつつある。従来の方法で線の幅を細くしていく方法はもう使えなくなる。メモリ半導体の一種であるNANDでは、回路を縦方向に積み上げる3次元化で微細化を進めるが、歩留まりも悪く、従来のペースで微細化を進めることはできていない。

「今までメモリ半導体メーカーは、製造装置を最新のものに置き換え、微細化することで性能を上げてきた。だが、微細化がスローダウンしたことで、性能を上げるよりも、新しいラインを足すような増産に走っている」とある半導体業界の首脳は指摘する。

実際、サムスンは中国・西安工場、韓国・平澤工場でそれぞれ新棟を建設。東芝も四日市工場の第6製造棟に加え、岩手県北上市にも新工場を建設している。それぞれ物量作戦への移行を図っていることが見て取れる。

製造装置、材料メーカーに追い風

こうした物量作戦の恩恵を受けるのが、製造装置メーカーや材料メーカーだ。製造装置メーカーの東京エレクトロンやSCREENホールディングスなどは軒並み、過去最高の純益を更新するなど絶好調だ。

材料メーカーでもSUMCOの好調が目立つ。同社はシリコンウエハで世界シェア約3割とトップクラスを誇る。シリコンウエハは半導体の基盤に当たる材料で、メーカーはウエハの上に化学薬品を塗布して回路を投影、現像することで、半導体が完成する。

シリコンウエハは微細化との関係が深い。たとえば同じ性能のチップを作るにしても、集積率が2倍になれば、従来の半分のウエハの面積で作ることができる。これまでは半導体需要が伸びても、微細化の効果で相殺され、ウエハの出荷数量は伸び悩んできた。

ところが、メモリ半導体メーカーの微細化が鈍化する中、急増したデータセンターの膨大な需要が押し寄せる。期待の3次元NANDの歩留まりもなかなか上がらず、物量作戦に舵を切った。

これを受けてウエハの需給は逼迫したが、各社がなかなか増産しなかったため、ウエハの価格が高騰。2017年に20%、2018年も20%、2019年に10%と当分上昇が続く見込みだ。

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