メモリなき新生・東芝を覆う「内憂」の正体

反転攻勢には社員の信頼が欠かせないが...

銀行出身の車谷暢昭会長兼CEO。しがらみのない外部からの経営者は東芝を改革できるのか(撮影:尾形文繁)

東芝が進めていた子会社・東芝メモリの売却について、5月17日、中国での独占禁止法当局の承認が下りた。6月1日に売却が完了する予定だ。

もともと東芝メモリ売却の目的だった債務超過解消は、昨年12月の増資などもあり、2018年3月末に達成済み。全社営業利益の90%を稼ぎ出す事業を手放す(今後は持ち分法適用)ことになるだけに、このまま中止となることを期待する意見も社内にあった。

一方、「東芝メモリ側は一刻も早い売却完了を望んでいた」(関係者)。投資スピードが命の半導体事業で、社外取締役や銀行などにお伺いを立てないと物事を決められない東芝の意思決定の煩雑さに嫌気が差していたからだ。

メモリ売却完了で財務は急改善

前期に約4700億円の営業利益を稼ぎ出しても本体の低迷に引きずられ、「東芝メモリ社員の賞与には加算もない」(前出の関係者)という不満もあった。一方、本体側には「メモリが赤字のときに支えてやったのに偉そうに言うな」という反感もある。何であれ、メモリなき「新生・東芝」として生きていくことになる。

財務的には一転、優等生になる。売却益約1兆円で19年3月末株主資本は1兆8700億円、同比率は40%台に急改善する見込みだ。

「高い水準の株主還元を要求したい」(増資を引き受けた投資ファンドの責任者)。大金を狙った海外での訴訟なども懸念される。ただ、新生・東芝にとって最大の懸案は、今後の成長シナリオが見えないことだ。

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