復活ルネサスが挑む「自動運転半導体」の戦い トヨタも認めた技術力で米国勢に対抗
「自動運転では圧倒的な強みがある」。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの呉文精社長は今、自信を深めている。
車載半導体に強いルネサスの業績は、自動ブレーキなど複雑な処理を必要とする運転支援機能の普及を追い風に拡大中だ。2017年12月期は売上高7710億円と、前年同期と比べて約2割増を見込む。大規模なリストラを経て、ようやく復活が見えてきた。
今後のカギとなるのが、冒頭の自動運転だ。1月9日から米ラスベガスで開催された家電見本市で、ルネサスは最新の自動運転車のデモ走行を実施。来場者の注目を集めた。
車載半導体でほぼトップのシェアを握る
自動運転に用いる半導体は、自動車全体の“脳”となるチップ、センサーなどからの情報を基に判断・命令を行うSoC(システム・オン・チップ)、命令を受けて各部品を制御するマイコンの3種類に大別される。ルネサスはSoCとマイコンで高いシェアを握る。
そんな同社を自動運転車開発のパートナーに選んだのが、トヨタ自動車だ。昨年10月、トヨタとデンソーが2020年の実用化に向け開発中の自動運転車に、ルネサスのマイコンとSoCを採用することを発表した。野村証券の山崎雅也アナリストは「現状の車の延長線上にあるレベル3(高速道路での自動運転)においてはよいポジション。今後5~10年は成長が期待できる」と分析する。
ルネサスのマイコンの強みは、高速演算処理と低消費電力にある。これらは回路上の線幅を細くする「微細化」で実現する。一般的なマイコンは線幅が90ナノメートルだが、ルネサスは40ナノメートルで消費電力は3分の1以下まで抑えられる。自動運転では、膨大な情報を高速で処理するために大量の半導体が搭載される。省電力化は不可欠だ。さらに細い線幅の製品開発も進めているという。
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