復活ルネサスが挑む「自動運転半導体」の戦い トヨタも認めた技術力で米国勢に対抗
一方のSoCは他の車載半導体メーカーが注力してこなかった分野だ。ルネサスは母体の1社、NECのテレビ向けCPUの技術を生かし、カーナビのチップを開発した。これを自動運転に応用している。
こうしてルネサスは、1社で判断・命令のSoCと制御のマイコンをそろえた。自動運転に必要なチップ同士の密な連携が可能になる。
自動運転などのさまざまな機能を搭載するには、チップに載せるソフトウエアも重要になる。ルネサスはソフトウエア開発で200以上の企業と手を組む。たとえばソフトバンクのロボット「ペッパー」の感情エンジンを車に持たせ、運転手の心理状態を察知するなど多様な機能が実現可能だ。
より多くの人がソフト開発にかかわれば、機能の多様化が加速する。開発環境の整備にも力を入れており、開発キットを低価格で販売する。これを車に接続するだけで開発者はソフトを実車で試すことができる。今後ルネサス製品の機能が充実すれば、採用企業が増える可能性は高い。IHSマークイットの杉山和弘シニアアナリストは「スマホOSのアンドロイドのように普及するイメージだ」と言う。
インテル、エヌビディアにどう対抗するか
着実に実績を積んできたルネサスだが、この先は茨の道だ。自動運転をめぐり、これまで車載と縁のなかったインテルやエヌビディアといった米国の半導体大手も続々と参戦。各社とも、車全体を自社製品で固める戦略を打ち出している。
特にエヌビディアはAI(人工知能)技術の開発を強化し、主力製品のGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を自動運転の脳を担うチップとして活用。今やトヨタや独フォルクスワーゲンなど、世界の自動車大手が同社を頼る。
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