北朝鮮の「通常兵器」はどこまで進化したのか

軍事パレードに登場した兵器を分析

今回のパレードでソングン915は、今年2月に披露された携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)に基づく防空システム、手榴弾発射装置、対戦車誘導ミサイルランチャーを装備して登場。これら追加装備によって戦車の機動性、カムフラージュ性能は犠牲となるが、引き換えに通常の主力戦車ではカバーできない多様な標的への攻撃が可能となる。

ソングン915(写真:北朝鮮ニュース)

中でも目を引くのが、対戦車誘導ミサイルランチャーだ。ここに搭載される対戦車ミサイル「プルセ(火の鳥)3」はロシアの強力な「9M133コルネット」をコピーしたもので、性能も同等とみられる。このように強力な対戦車誘導ミサイルの開発は、韓国やアメリカの最新鋭戦車をも脅威にさらすインパクトを持っている。

「天馬216」は成熟が進んでいて、信頼性も高い

しかしソングン915の投入にはまだ、いくつか課題が残されているようだ。問題は125ミリ戦車砲に関連しているとみられる。同戦車砲が発射される様子はこれまでのところ1度も確認されていないからだ。

ソングン915に続いてパレードに登場した「チョンマ(天馬)216」戦車は、もう少し成熟が進んでいて信頼性も高い。搭載されている対戦車ミサイルはロシアの「9M111ファゴット」をベースとした「プルセ2」で、プルセ3ほどの破壊力はない。戦車砲も115ミリと、125ミリ搭載のソングン915には見劣りする。

天馬216(写真:北朝鮮ニュース)

だが、チョンマ216はレーザー誘導爆弾をかわすソフトキルの防衛システム(電磁波などによって相手の攻撃を攪乱・無効化する装置)を備えているとみられ、この点は注目に値する。また、同戦車は大量生産が行われているとも考えられている。北朝鮮戦車部隊はいまだにソ連の「T-55」「T-62」をベースとした原始的な戦車が主流となっているが、チョンマ216の投入によって戦闘力は大幅に補強されよう。

続いて登場したのが、新開発の装甲兵員輸送車だ。これら装甲兵員輸送車は、2000年代初頭にロシアから限定的に導入した「BTR-80」をまねて開発された。

北朝鮮では1960~1980年代に中国やソ連から購入したか、国内で生産した装甲兵員輸送車が今も圧倒的多数を占めているが、最近では核・生物・化学兵器に汚染された環境でも活動可能な6輪式もしくは8輪式の装甲兵員輸送車によって装備の近代化が図られている。北朝鮮が派手な弾道ミサイルや大量破壊兵器ばかりを増強しているのではないことを裏付けるもう1つの事例だ。

もちろん、朝鮮人民軍では兵器が時代遅れになったとしても、ただ新型に置き換えるというようなことは通常行われていない。手に入れた兵器は修復不能になるまで使い続けるのが北朝鮮の流儀だ。

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