北朝鮮「秘密の核施設」情報がダダ漏れた事情 トランプ氏は米朝首脳会談前に知っていた?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
北朝鮮にある「秘密の核施設」の存在を認識しながら、トランプ大統領は米朝首脳会談に臨んだのか(写真:Jonathan Ernst/ロイター)

米NBCテレビは6月29日、米中央情報局(CIA)など米情報機関の分析を引用して、北朝鮮が「複数の秘密施設」で核兵器に使われる濃縮ウランの生産を継続していると報じた。

北朝鮮の最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長が韓国や米国に対して融和路線に乗り出し、韓国・文在寅大統領との南北首脳会談、そしてドナルド・トランプ米大統領との間で史上初となる米朝首脳会談が実現した後でさえ、核燃料が増産され続けてきたことになる。NBCが報じた情報機関の分析によれば、金氏は今週予定されるマイク・ポンペオ国務長官との間の非核化協議でも、このような秘密施設の存在を隠し通すつもりだったようだ。

インサイダー12人以上がリークした驚き

NBCの報道では、情報機関のインサイダー12人以上に取材したとしている点が目を引く。これだけ多くの関係者から情報がリークされたというのは驚きだ。米朝首脳会談に関するトランプ政権の政治的メッセージに対して、情報機関の中でかなり不満が鬱積している様子がうかがえる。さらに重要なのは、情報機関がリークした情報が、トランプ氏が見せている楽観的な現状認識の信用性を著しく貶めるものであることだ。

本記事はNK News(北朝鮮ニュース)の翻訳記事です

「北朝鮮の核の脅威はなくなった」。シンガポールで金氏との首脳会談を終えたトランプ氏は、こう宣言した。これは自身にとって政治的に好都合なメッセージを流すための広報戦略だが、トランプ氏の発言は事実に反する。シンガポールの米朝首脳会談を経ても、何ら北朝鮮の脅威は変わっていない。金氏は今も強力な核戦力を思いどおりに動かすことのできる立場にあり、しかも、その核戦力は増大し続けているのだ。

北朝鮮に関する機密情報に通じた複数の米政府当局者から筆者が聞いている情報では、NBCの報道で大きく扱われている秘密施設は数年前から存在していた。北朝鮮で2つ目となる、このウラン濃縮施設の名前はNBCの報道では明らかにされなかった。

だが、米ワシントン・ポスト紙は5月下旬、米シンクタンク・科学国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト所長による研究を紹介する形で、この施設の存在を報じている。

次ページ秘密のウラン濃縮施設
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事