北朝鮮「秘密の核施設」情報がダダ漏れた事情 トランプ氏は米朝首脳会談前に知っていた?
だが、NBCの報道で最も興味深く、そして物議を醸しそうなのは、米情報当局者の間で「北朝鮮は米国をだまそうとしている」といった見方が出ていることだ。NBCはこの点に触れるに当たって、「情報機関による最新の分析のうち、当局者が情報源を危険にさらすおそれがあると指摘した部分については報道を控えることに同意した」との断りを入れている。
これは次のようなことを意味している。北朝鮮の狙いに関する最新の機密情報は人的な情報源からもたらされている可能性が高く、報道によって情報源や情報の入手ルートが特定される可能性があるということだ。
北朝鮮の脅威は今も存在している
多数の情報当局者から情報がリークされたこと、またリークされた情報が機微に触れるものであることを考えると、ホワイトハウスに対する情報当局者の抵抗がいかに強いものであるかがわかる。北朝鮮の非核化状況について、トランプ政権が発しているメッセージを押し戻そうとしているのだ。
北朝鮮の脅威は今も極めてリアルに存在している。そうした現状を世に知らしめるためなら、情報源や情報入手ルートをリスクにさらしてもかまわないと米国の情報当局者は考えるようになっているのだ。
リークの動機が何だったのかを突き止めるのは不可能だ。だが、リークのタイミングは、ポンペオ氏が非核化の追加交渉のために訪朝する直前という絶妙なものだった。
このような情報が表面化することなく、米朝が国際査察などの非核化検証プロセスをめぐって奇跡的に合意に達するという展開になったとすれば、北朝鮮政府は寧辺にしかウラン濃縮施設はないと言い張ったかもしれない。そうなれば、米国側は少なくとも、北朝鮮が米国を欺こうとしていることを一瞬にして見破ることができた。