米朝首脳会談「フェイクピース」になる可能性 米国の専門家たちの見立ては?
いったんはキャンセルされた米朝首脳会談だったが、当初予定どおり6月12日にシンガポールで開催される運びとなった。こうなった以上、ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩委員長との会談に向けてまじめに準備する必要がある。準備を怠れば、首脳会談は単なるフォトセッションに終わるか、北朝鮮にハイジャックされて交渉の主導権を握られるだけだ――。専門家たちは米国の政治討論番組の中でそう注意を促した。
北朝鮮問題にかかわっている米国の政府高官は出演を避けた。しかし、先週金曜日にホワイトハウスで行われた金委員長の側近、金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長とトランプ大統領の会談は、ABCテレビの「ジス・ウィーク」とCBSテレビの「フェイス・ザ・ネーション」で討論のテーマになった。
金正恩はしっかりと準備してくる
「トランプ氏は、ものすごく準備しなければならない」と、米国の元国連大使、ビル・リチャードソン氏はABCの番組内で語った。「正恩氏はしっかりと準備してくるだろう。正恩氏は北朝鮮の核プログラムを熟知している」。
リチャードソン氏は過去に北朝鮮政府と交渉した経験を持つため、指南役として十分な資格を備えている。その同氏は「(米朝首脳会談は)巨大なフォトセッションになってしまう危険がある」と語り、北朝鮮は交渉を通じて米国を窮地に追い込もうとしていると警告する。
「北朝鮮は絶対にあきらめない。目標達成に向けて、妥協することのない人たちだ。その結果、今や米国のポジションのほうが劇的に変化してしまった。われわれ米国は今、段階的な非核化にOKと言っているのだ。それでも、首脳会談は行うべきだ。米国が何かを手に入れることはできる。では、どうなれば成功といえるのか。核の使用やミサイル実験に対して何らかの制限を加え、核兵器を破壊することだろう。これは段階的なプロセスとなるかもしれないが」