米朝首脳会談「フェイクピース」になる可能性

米国の専門家たちの見立ては?

トランプ氏は6月1日に英哲氏と会談した後、シンガポールで12日に予定される米朝首脳会談の後も複数回にわたって会談を開く多段階プロセスの可能性に言及した。リチャードソン氏が言う「米国のポジションの変化」とは、このことを指している。トランプ氏はこれまで、シンガポールの首脳会談から北朝鮮の核計画を終わらせるディール(取引)を持ち帰るとしていたが、この方針は転換されたもようだ。

CBSの「フェイス・ザ・ネーション」には、1994年の北朝鮮核危機で米国側の交渉役を務めたロバート・ガルーチ元北朝鮮核問題担当大使が出演。トランプ氏らに向けて、本質的な問題から意識をそらさないよう忠告した。

トランプの関心事は「朝鮮戦争の終結」

「派手な目標に目を奪われるのではなく、本質に集中すべきだ」とガルーチ氏は語った。「丸1年近くにわたって、われわれを危機にさらしてきた本質的な問題とは、米国本土を射程圏内に収める能力を持った核兵器と大陸間弾道ミサイルのことだ」

これに関してブルッキングス研究所のジュン・パク上級研究員は、朝鮮戦争の終結宣言が派手な目標になっていると語った。

「英哲氏との会談後に行われた記者団とのやりとりで目を引いたのは、トランプ氏が平和協定の問題を繰り返し語っていたことだ」と、パク氏は話した。「この点は気がかりだ。おそらく、北朝鮮側が会談の中で話していたことなのだろう。北朝鮮はこの問題がトランプ氏の琴線に触れるのを知っていたはずだ。トランプ氏は朝鮮戦争を終結させるのに、かなり関心を持っている様子だ」

パク氏は朝鮮戦争の終結宣言には非核化が伴わなければならないと強調。そうでなければ「フェイクピース(偽の平和)」になってしまうと語った。

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