首都圏で地盤が不安な地域は一体どこなのか 想定外の災害に備えリスクを調べておこう

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広大な木造住宅密集地域を抱える東京都では、1975年から5年ごとに地震による建物倒壊と火災発生のリスクを評価する「地震に関する地域危険度測定調査」を実施して独自にマップを作成・公開している。これらを1つずつ調べるだけでも大変だ。

国交省の国土地理院では、各自治体のハザードマップを簡単に検索できるように10年ほど前に「ハザードマップポータルサイト」を開設した。当初は自治体のサイトリンクを張る「わがまちハザードマップ」だけだった。だが、2014年から国土地理院の地図に、複数のハザードマップや地形図などのデータを重ね合わせて見ることができる「重ねるハザードマップ」の提供を開始した。

担当者に聞くと、実際にハザードマップを作成しているのは地方自治体で、各自治体のデータを地図に重ねる加工作業を国土地理院で行うため、「提供するのに時間がかかることがある」と言う。使い方としては、「重ねるハザードマップ」で災害リスクを把握し、「わがまちハザードマップ」から自治体のサイトに移動し、「最新のマップを確認してほしい」と言う。

災害発生直後は読まれているが…

ただ、ポータルサイトの利用状況は「災害が発生した直後にアクセス数が急増するが、普段は多くない」のが実情のようだ。住宅の売買などでハザードマップを事前に確認する人は少ないのだろう。

災害リスク情報を不動産取引にどう活用するか。地盤調査会社の地盤ネットホールディングスでは、通常の地図に、災害リスク情報を重ね合わせて見ることができる「地盤安心マップⓇPRO」を有償で不動産会社などに提供している。

その最大の特徴は、自社の地盤調査データと国土地理院が公表している浸水リスク、地盤の揺れやすさ、液状化リスク、土砂災害リスクの5項目を各20点の100点満点で点数化した「地盤安心スコア」だ。地図をクリックするだけで、調べたい場所の点数が表示される。東京都の市区町村の平均スコアのランキングは1位が利島村、2位国分寺市、3位西多摩郡瑞穂町。ワーストの62位は江東区となった。

2011年3月の東日本大震災で東京都江東区には液状化現象が起きた(撮影:尾形 文繁)
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