タクシーの「相乗りマッチング」は浸透するか 新アプリ「ニアミー」割安だが普及には課題も

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ニアミーにとって最大の課題は、マッチング率が低いことだ。消費者への認知を図っている途中で、利用者の母数がまだ少ないことが一番の要因。CTO(最高技術責任者)の細田謙二氏は「理論上は、10件のうち5件がマッチングするようになっている。これから利用者が増えれば、マッチング率は9割近くになる」と息巻く。

アプリのダウンロード数はまだ数千だが、最近では、出発地を都内だけでなく神奈川県や埼玉県にも拡大した。全国展開も視野に入れる。インターネット広告はもちろん、新宿や渋谷、サッカーの試合会場などでのビラ配りにも力を入れる。「大企業に唯一勝てるのは、スピード感」(髙原氏)をポリシーに、地道に認知度を高めようと必死だ。

客同士のトラブル対策が欠かせない

ただ、普及には課題もある。まず、今回記者が試したように乗車・降車場所が同じ場合、アプリの利用を途中でキャンセルして相乗りしてしまえば、半額で済ませることもできてしまう。アプリ側からすれば、マッチングツールとしてのみ使われてしまう「フリーライド」が起こりうる。実際に乗車する車両とアプリがひも付けされていないがゆえに生じる問題だ。「そういったケースが続く場合は、警告を出すなど対応をする」(髙原氏)という。

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加えて、日本人の「シェア」への抵抗感も大きい。ニアミーの事前調査では、20~40代の約50%が使ってみたいと回答したというが、若い世代でも残りの半数は、他人とタクシーをシェアすることに抵抗があるとも取れる。利用者の住所特定を防ぐことや泥酔した客への対応など、客同士のトラブルを回避するための対策は、ほかのシェアリングエコノミー同様に必要だ。

髙原氏は「大手タクシー会社参入の動きなど、相乗りタクシーへの追い風は吹いている。5年後のユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)化も期待できる」と自信を見せた。はたしてタクシー業界にとって、相乗りアプリは追い風となるか逆風となるか。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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