タクシーの「相乗りマッチング」は浸透するか 新アプリ「ニアミー」割安だが普及には課題も

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日本橋から新宿駅まで相乗りする場合、単独で乗車するより約40%安くなるという試算結果がアプリで表示された(記者撮影)

流しのタクシーをつかまえると、20分ほどの乗車が始まった。通常、日本橋から新宿駅まではタクシーでは3370円かかるが、アプリの計算によると、1人当たり1348円(約40%)安い2022円になるという。そのうち337円はサービス料としてニアミーに入る。サービス料の比率は今回は17%だが、会社によると利用距離などに応じて変動するという。S氏は「ライドシェア(乗用車への相乗り)ができない日本で、東京五輪前にこういうサービスができるのはいいですね」と笑う。

ニアミーでは最後に降りる人がひとまず運賃の全額を運転手に支払う。先に降りた相乗り相手との間の精算は、アプリ上で完結する。具体的には、先に降りる人のクレジットカードから料金が引き落とされ、最後に降りた人のアプリ上のアカウントに入る。アカウントから銀行口座への振り込みが可能だ。

タクシーの課題解決を目指して開発

ニアミーのターゲットは、郊外に住む終バスや終電を逃した人だ。日本の交通機関は充実しているが、深夜は一気に利便性が落ちる。「タクシーに乗って早く家に帰りたいが、高くて乗るのをためらう。これを解決するには、相乗りがいいと思った」。そう語るのはニアミーの髙原幸一郎社長だ。楽天出身の髙原氏は、首都圏郊外在住の経験を踏まえ、乗客だけをマッチングしタクシーに乗せるモデルを編み出した。

ニアミーの髙原幸一郎社長は、シェアリングエコノミーの1つとして、タクシーの相乗りの広がりに期待する(写真:nearMe.)

海外では、米国のIT企業、ウーバー・テクノロジーズやリフトなどによるライドシェアが近年、急激に拡大している。遊休資産となっている乗用車を一般人が運転し、マッチングした乗客を乗せる。従来のタクシーより待ち時間が短縮され、価格も安くなったことで、人気が爆発した。

だが、S氏が話すように、日本では乗用車による相乗りサービスで一般人が報酬を得ることは、「白タク行為」として道路運送法で禁じられている。安全性に疑問を呈するタクシー業界の反発も厳しく、日本では規制緩和の気配は見られない。ニアミーは、乗客が申し合わせたうえでの「合法的な相乗り」でタクシー料金を割安にする手法を見いだしたといえる。

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