タクシーの「相乗りマッチング」は浸透するか 新アプリ「ニアミー」割安だが普及には課題も

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ニアミーのアプリは、ユーザーの使い勝手の向上に力を入れている(記者撮影)

ニアミーが特に力を入れるのは、アプリの使い心地(UI〈ユーザーインターフェース〉・UX〈ユーザーエクスペリエンス)だ。「UI・UXに関しては、文化を作るくらいの気合でやっている。海外のアプリをベンチマークに、極力シンプルにしようと思っている」(髙原氏)。待ち合わせをスムーズにするための工夫は前述したとおりだが、相乗り利用者同士の料金精算も、両者の交渉で値段を変えられるなど、工夫が見られる。

アプリの収益は利用者が支払うサービス料で賄う。あるタクシー会社の幹部は、「アイデアは面白いが、サービス料を抜かれこちらの利益が減るのは困る」と不安がる。しかし「安さ」を売りにタクシーの需要が喚起され、都市部でも50%以下の実車率(走行距離に対する営業走行距離の比率)が改善されれば、運賃収入が増え、タクシー会社にもメリットがあるはずだ。

タクシー会社も相乗りの実証実験

もちろん、タクシー会社も手をこまねいているわけではなく、初乗り運賃の値下げや配車アプリの導入など、利便性向上の施策を進める。その1つがニアミーが取り組んでいるのと同じ相乗りだ。今年1月から2カ月間、大手の日本交通と大和自動車交通は、相乗りの実証実験を実施。サービスが認知されないまま乗り出したこともあり、マッチング率は1割程度と低かった。ただ、タクシーの相乗りは今後も導入が促進される見通しで、2社は本格運用に向けて動き出している。

ニアミーは、タクシー業界の動きとはバッティングしないか。髙原氏は「個々のタクシー会社がそれぞれアプリを作っても、利用者が分散してマッチング率が下がる。ニアミーは1つのアプリで利用者が合流してから、どのタクシーにでも乗ることができ、より多くの母数を確保できる」と自社サービスに自信を示す。

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