分散投資の「分散」の意味を知っていますか 投資で儲けたいと思ったらまずは「基礎固め」
投資先を日本と海外へ「分散」させることもやはりシーソー関係にあります。為替をイメージするとわかりやすいですが、一方の通貨が高いと一方の通貨は安い、その逆もしかり。先進国の経済が好調だと資金が集まり、新興国経済に期待感が高まると資金は先進国から新興国に流れる、これもやはりシーソーです。
「なるほど、分散とは投資信託を複数持つということではなく、投資先を分けることだな!」とご理解いただけるかと思いますが、6000本以上もある投資信託をカテゴリーで分けて上手に組み合わせるのもなかなか至難の業です。
お弁当箱「バランスファンド」の中身をどう構成するか
そこで登場するのが、シーソー関係にある投資先を専門家が組み合わせてくれている「バランスファンド」です。投資する側からみると、これ1本で分散投資が可能となるのでとても便利です。
しかしここにも注意すべき点があります。投資先を組み合わせる割合です。バランスファンドはいわば投資の「お弁当箱」です。たとえば「育ち盛りの高校生」なら生姜焼きや唐揚げなど肉多めのお弁当もよいでしょうが、メタボが気になる中年はやはり野菜中心が好ましい食事です。それと同じで、つまり投資の目的によってお弁当の中身は調整しなければならないのです。
バランスファンドには、安定型、成長型という表現のものがあります。安定型はお弁当でいうと野菜中心、つまり債券に多めに配分された投資信託です。反対に成長型は、肉多め、株式によりウエートを置いた配分になります。当然ながら、前者と後者を比較するとリスクとリターンは後者のほうがともに高くなります。
最近は8資産均等、6資産均等といったバランスファンドも目立ちます。金融庁が示した6資産に不動産を加えた8つのカテゴリーに12.5%ずつ投資をするのが8資産均等のバランスファンドです。
「マイインデックス」というサイトで過去20年間のそれぞれの資産の経済指数に分散投資をした場合の運用データを調べてみました。すると平均リターンは6.1%、リスクは12.7%、シャープレシオは0.48です。一方6資産均等の平均リターンは5.2%、リスクは12.2%、シャープレシオは0.43と、8資産均等のほうが運用効率はよかったということがわかりました。シャープレシオとは、投資信託の運用成績を測る指標の1つで、数字が大きいほうが高評価ですから、バランスファンドを選ぶ際の参考になるでしょう。
つみたてNISAで選ばれた数少ないアクティブファンドで世界中の株式に投資をする「セゾン資産形成の達人ファンド」は、いわば「100%肉弁当」で、おかずの種類も多く世界の市場の力関係に応じて配分をしているバランスファンドです。こちらの過去10年の実際の運用成績は、平均リターンが10.39%、リスクは17.99%、シャープレシオは0.58です。同社の別のファンドで「バンガード・グローバルバランスファンド」という肉と野菜を半々につめたお弁当は、リターンが4.43%、リスクが12.95%、シャープレシオは0.34でした。
このように「長期・積み立て・分散投資」は印象に残るキーワードですが、3番目の分散投資という言葉をそのまま鵜呑みにせず、もう少し丁寧に理解を深める必要があります。また分散投資を手軽に実現するバランスファンドも、中身を精査せずになんとなく名前で判断してはいけません。今回の記事が、少しでも皆さんの資産形成の参考になれば幸いです。
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