分散投資の「分散」の意味を知っていますか 投資で儲けたいと思ったらまずは「基礎固め」
金融庁が「貯蓄から資産形成へ」の掛け声とともに、NISA(少額投資非課税制度)を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。ファイナンシャルプランナーとしてお客様のライフプラン相談や講演活動をしている筆者自身、日本人の投資マインドは確実に変化していると感じるこの頃です。
もちろんこれはNISAだけではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)の効用もとても大きいものがあります。こちらの管轄は厚生労働省。金融庁と「異例の連携プレー」で、今まで資産形成に関心がなかった人、あるいは投資はギャンブルだと思い込んでいる人にメッセージを発し、「長期・積立・分散投資」という「3つの正しい資産形成の姿」を植え付けているようです。
「分散投資」とはたくさん商品を買うことではない
しかし、筆者には「言葉の一人歩き」が気になっています。3つのうち「長期」や「積み立て」は比較的わかりやすいとして、実は問題なのが「分散投資」の意味です。分散投資は、投資リスクを低減させるために用いられる手法です。具体的には分散には「時間」と「投資先」の2つを指しますが、時間の分散については「積み立て」という言葉で事実上代替しているので、今回は「投資先の分散」について詳しく見ていきましょう。
では投資先の分散とは何を意味するのでしょうか。投資する「商品」をたくさん持って「分散」させればよいということではありません。
あるお客様は、金融機関に勧められるまま購入した投資信託が10本以上になってしまい、「どうしたらよいのかわからない」と言ってご相談に来ました。その後、いろいろな書籍を読みセミナーにも参加していると、「どうも自分がやっている投資は分散投資とは言えないようだ」と心配になったのです。
確かに、投資信託の内訳を見ると、日本の株式に投資をするものが数本、さらに「円だけを持っていては分散になりません」と言われ、複数の国の通貨に投資をするファンドもお持ちでした。本数こそ10本に分かれているものの、これでは分散投資の意味を成しません。
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