水害リスクの高い日本に足りていない備え アメリカやフランスは保険加入を義務化
日本は、世界で最も「水害リスクの高い国」と言っても過言ではない。
スイスの再保険大手のスイス・リーが2013年にまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」では、1位は東京・横浜、5位は大阪・神戸、6位は名古屋と日本の主な都市が占める結果となった。調査では、世界616都市を対象に、洪水や地震、嵐、高潮、津波などで被災する人の数を推計しているが、山と海に囲まれ川が多く、かつ地震の多い日本は、フィリピンやインドネシアよりも水害の危険度が高い。
2014年広島市の集中豪雨に伴う土砂災害や、2015年の茨城県の鬼怒川氾濫、2016年に岩手県に上陸した台風による大雨など、近年も大きな水害が発生している。今年7月には西日本を巨大な豪雨が襲った。
海から離れた土地に住む人も例外ではなく、地震や暴風雨などが重なれば、洪水に巻き込まれる可能性もある。
日本の「水害保険」加入者は3割
もし水害に被災した場合、もとの生活を取り戻すは当然お金がかかる。そのため、国は水害被害者に対して、「被災者生活再建支援制度」などの公的な支援を実施している。だが、支援額は最大300万円。受給までに1~2カ月と時間もかかる。
ほかにいい方法はないか。そう考えたとき次に思い浮かぶのが、水害をカバーしてくれる民間の保険だ。
ただ、2016年の内閣府の世論調査によると、水害保険に加入している人は3割程度しかいない。水害保険をつけないと答えた人に、その理由を尋ねると、「自宅周辺で水害は起こらない(43.4%)」「水害が起こっても被害を受けない(17.6%)」、そして「保険料が高い(17.0%)」という回答が続いたそうだ。
確かに日本で水害をカバーしてくれる保険に加入するには、火災保険に水害補償プランを付帯しなければならず、保険料もその分、通常より割高になる。
たとえば、危険度の高い東京の荒川区で3000万円ほどの持ち家(一軒家)で、水害補償に地震など自然災害を付帯し、補償額を3000万円とした場合、毎月2万円以上の保険料がかかる。もし20年間払い続けると、500万円近くの保険料を払うことなる。
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