セクショナリズムを退治する方法
では、どうしたらセクショナリズムが緩和される(起きない)状態になるのか? 解決方法は、社員が「組織を超えた視点」を持てる状態をつくること。組織が硬直化しないため、外部からの刺激をもたらすのです。いちばん効果的なのは、社内での人材流動化。
「社員をドンドン人事異動させて、いくつも部署を経験させればいいのではないか?」
確かに妙案。本連載でも、戦略的人事異動の必要性を書かせていただいています。ただ、これが簡単そうで、意外に難しい。どの組織も戦力はギリギリ、ひとりでも欠けたら大変な状態で運営しているのが実情です。ドンドン人事異動されたら、失うノウハウ、取引先との関係は甚大です。動かしたくても「無理」な職場が大半でしょう。
そこで現状の組織のままで横断的な経験をさせることができる仕掛けとして注目されているのがクロスファンクション。具体的には部門を超えて「横断的」に仕事をする機会をつくり、《セクショナリズムの弊害を認識させる機会とする》こと。たとえば
・品質管理の仕組み
・販売戦略の見直し
・業務フロー改善
など、自分の組織の利害関係だけでは判断できない、全社的な業務に関して検討、解決策を提案するプロジェクトに参加させるのです。長く、自分の所属する組織しか知らずに仕事をしてきた人にとっては、大いに困惑する仕事です。取材したクロスファンクションのチームに抜擢された専門商社のGさんは
「入社以来、ずっと同じ部署にいます。他部署の人は別の会社と思えるくらいに距離があるので、不安です」
と語ってくれました。ちなみにGさんが参加することとなったのは、社内報を組織横断で作成するプロジェクト。リーダーは広報部門の先輩社員(初対面でした)。
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