警察庁の統計によれば、75歳以上の運転者による死亡事故件数は、年間450件程度でほぼ横ばい、全死亡事故の中での比率は増加傾向にあったが、2017年は418件、12.9%で件数、比率とも低下している。高齢運転者による死亡事故が急増した事実はない。
一方、75歳以上の運転者の死亡事故頻度は、75歳未満に比べ2倍以上高いとされる。運転者年齢層別の危険度を、免許保有者10万人当たり死亡事故件数の推移で見てみよう。10代と80代以上の2区分で、特に死亡事故頻度が高い。一方で、増減を見ると、高齢層を含むすべての年齢区分で、ほぼ一貫して漸減傾向にある。
以前に「『キレる60代の男たち』を減らしていく方法」で論じた粗暴行為の急増とは異なって、人口当たりの発生率はむしろ減少傾向にある。なお、死亡事故に限らず、負傷事故全般も同様の漸減傾向にある。
事故率の高い80歳以上の人口は増える
だが各年齢層で事故率が低下していても、事故率の高い高齢運転者が増加すれば、全体として事故が増加してしまう可能性がある。そこで高齢運転者の増加を、高齢人口の増加と、免許保有率上昇の2つの要素から考えよう。
『高齢社会白書29年版』によれば、75歳以上の人口比率は2030年で19.2%、2065年には25.5%に達すると見込まれる。また警察庁によると、2016末の運転免許の年齢層別の保有率は、40代がピークで、それ以上の年齢についてみると、年齢が上がるほど低く、下がるほど高くなっている。年齢層の推移により、今後、75歳以上のいわゆる後期高齢者の免許保有率は大幅な上昇(特に女性が顕著)が見込まれる。
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