ホンダCR-V日本復活も75万円値上げの不可解 車体も大型化、国内消費者に訴求できるのか
新型CR-Vの事前注文のうち約45%を占めるのが2Lハイブリッドだ。発電用と駆動用の2つのモーターを搭載した「i-MMD」というホンダ渾身のハイブリッドシステムを導入した。アコードやオデッセイ、ステップワゴンも同じパワートレインを持つ。パワートレインの開発責任者を務める戸野倉直道氏は「ホンダが持つ3種類のハイブリッドのうち、燃費・走行性能でもっともポテンシャルが高い」と語る。エンジンとモーターを使い分けることで3つの走行モードの切り替えが可能で、4WD(4輪駆動)と組み合わせると力強い走りを発揮するという。
また、今回新たに3列シートモデルを追加した。マツダの「CX-8」が「脱ミニバン」を目指して開発した3列シートが、現在国内で大当たりしていることを考慮すると、家族持ちのミニバン利用者からの乗換えも期待できる。ホンダセンシングを標準装備したことで、家族連れが重視する安全面への寄与も期待できる。
競合車種より割高な価格設定
しかし、これらの強みを打ち消しかねないほどの大きな壁が価格設定だ。新型のベースグレードの価格は約323万円からと、先代の248万円から75万円も上がった。ハイブリッドに至っては378万4000円からの価格設定となっており、競合車種が主力モデルの価格を250万~300万円後半に設定している中では明らかに割高だ。
日本事業を統括する寺谷公良執行役員は、「内装の充実や、ホンダセンシング・ナビ等新たな装備がついて30万円程度上がっている。付加価値を考えれば割高感はない」と言い切る。しかし、かかったコストをそのまま価格に転嫁するだけでは、市場は納得しないだろう。
また、大きすぎるサイズも懸念要素だ。2、3、4代目が大型化によって国内で不人気になったことはすでに触れたが、5代目もその轍を踏んでいる。全長4605㎜、全高1680㎜、全幅1855㎜は、先代だけでなく、競合車種の大きさをやや上回る。米国市場を照準に入れて開発された車両を、日本向けに調整することは難しかったようだ。これでは、主要な顧客層になるとされる都市部のマンション住まいのユーザーを取り込むのは難しい。
ホンダは主要顧客として、先代のCR-Vに乗るユーザーからの乗換を想定する。しかし、あるCR-Vユーザーが「都会風でかっこいいが大きく、自分が買った先代より70万円も高い。先代をまだ乗るよ」と話すように、価格面・サイズ面でも、これまでのファンまで取りこぼしてしまう可能性も否定できない。
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