サッカーW杯熱狂の陰で開幕したFリーグの今 AbemaTVは観るフットサルを定着化できるか

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AbemaTVやリーグ・チームの努力により、今シーズンの視聴数は、昨年比で120%まで伸びているという。この状況に、北澤氏はさらに語気を強めてこう語る。

「今、AbemaTVでFリーグを視聴している人は、34歳以下が大半で、全体の70%を占めている状況です。若い層の獲得には成功していますので、今のクオリティを継続しながら、さらに新しいファンを獲得して、Fリーグをはやらせていきたいですね。

今は、愛知県を中心に2020年に向けて、フットサルワールドカップの招致活動が続いています。これをチャンスととらえながら、今のFリーグを取り巻く環境や世界観を、自分たちの力で変えていきたいというのが、私たち現場の偽りのない本音です」

フットサル界のキング・森岡薫選手(左)と、諸江剣語選手のマッチアップ(筆者撮影)

このように、AbemaTVによるFリーグの配信には、一定の効果が生まれつつあり、これが浸透していけば、もっと多くの人に、Fリーグの魅力が伝わっていくだろう。

しかし、現在までのところ、当初150万人と想定していた潜在顧客を取り込むまでには至っていないのも事実だ。

この状況を変えるには何が必要かを聞いてみると、北澤氏はこう答えた。

「確かに、まだまだライト層にまで届けられていないのは事実です。今までにない手法や、少し驚かせるような方法を模索しながら、それを実現できたらいいなと思っています。

もう1つは、もっと多くの方に協力してもらえる状況にしたい。Fリーグを好きな人、フットサルを好きな人が、SNSなどで自主的に、AbemaTVでFリーグを観ることの魅力を発信してもらえるような番組づくりや宣伝施策を継続的にやっていきたいですね」

動き出したもう1人の男

AbemaTVでの配信によって少しずつ効果が出てきた現状に対して、さらにアクセルを踏もうと動き出した男がいる。元フットサル日本代表で、現在はAbemaTVでフットサル解説を務める北原亘氏だ。

北原氏は、現役時代、キャプテンとして名古屋オーシャンズの黄金期を支え、ワールドカップにも2度出場するなど、長きにわたって日本のフットサル界を牽引してきた。そして2016年に現役引退後は、フットサル解説のほかにも、企業や学生向けに研修を行うなど、長年の競技生活で培った経験を生かして、フットサルの価値を高める活動を行っている。

現役時代は選手として、そして引退後はAbemaTVの解説者という立場から、アリーナを見渡し、Fリーグを最も身近に肌で感じてきた北原氏は、AbemaTVという強力なパートナーを手に入れた今こそ、Fリーグの魅力をもっと広く世間に伝えるチャンスだと話す。

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