サッカーW杯熱狂の陰で開幕したFリーグの今 AbemaTVは観るフットサルを定着化できるか
「ひっそり開幕する感じは嫌だ」
ワールドカップロシア大会の開幕を目前に控え、国内がサッカーの話題で埋め尽くされていた6月12日、フットサル日本代表の滝田学(ペスカドーラ町田所属)は、自身のブログにこうつづった。
4日後に開幕するFリーグ(日本フットサルリーグ)に対する注目度が、例年以上に低くなるのではないか、という危機感を募らせての行動だった。
滝田をはじめとする多くのフットサル選手や関係者は、SNSを使ってFリーグの開幕を積極的にアピールしたが、結果的に、滝田の悪い予感は的中してしまう。Fリーグ・ディヴィジョン1の開幕戦6試合の合計入場者数は、4478人。例年にも増してひっそりと、12年目のFリーグは開幕した。
昨年、Fリーグは、AbemaTVとタッグを組み、スマートフォンと通信環境さえあれば、どこでも迫力ある試合映像を楽しむことができる環境をファンに提供した。この取り組みは今シーズンも続いている。
AbemaTVをテレビ朝日と共同で運営するサイバーエージェントは、2018年9月期第2四半期決算発表にて、主要事業である広告事業とゲーム事業で積み上げた利益を使って、メディア事業に十分な投資を行い、中長期的に事業の柱に育てていくという方針を改めて打ち出しており、現在も昨年とほぼ同様のペースでAbemaTVに対して先行投資を行っている。
先行投資しながらAbemaTVをマスメディア化することを狙うサイバーエージェントは、なぜ、その中核コンテンツの1つとして、Fリーグを選んだのだろうか。
AbemaTVがFリーグに感じている魅力とは
AbemaTVのスポーツチャンネルは、自らのプラットフォームに、テレビの制作ノウハウや技術ノウハウを融合して、新しいファンを獲得し、スポーツ界全体を盛り上げていくという役割がある。そんなAbemaTVが「観るスポーツ」として未開拓であったフットサルに大きな可能性を求めたのだ。
参入当初、AbemaTVがFリーグに感じた魅力は、大きく5つあった。
1つ目は、スマートフォンの画面の大きさに最適なピッチサイズのスポーツであること。2つ目は、清水和也(フウガドールすみだからスペインのエルポソ・ムルシアFSに移籍)をはじめとする若くて才能豊かな選手が数多く存在すること。3つ目は、協会やチーム・選手が非常に協力的であること。4つ目は、視聴習慣を植え付けるために、定期的に試合を中継することができること。
そして5つ目は、潜在顧客の多さだった。
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