身内で傷の舐め合い、終わらぬ「みずほ危機」

どうなる、みずほ。週刊東洋経済緊急ルポ<1>

しかし、総ざんげのような処分で済む問題ではない。発覚した反社取引は約230件、総額にして2億円超。みずほ銀行にとって件数、金額とも微々たるものだが、それを放置し続けて、事実を偽った行為は極めて深刻だ。

今回の問題を風土というあいまいな言葉を使わないで表現すると、「経営陣による正確な情報の共有化」の欠如である。

佐藤氏が28日の会見で、「組織の縦割り構造が問題」と語ったのは、そのことを表現しているのだろう。だが、欠落していたのは横のつながりだけではない。縦のつながりも機能していなかったと言わざるをえない。要するに、ガバナンス基盤の著しい脆弱さである。

その是正のためにも、金融庁が求めたのがみずほコーポレート銀行、みずほ銀行の統合というワンバンク化。それを内部で推進したのが佐藤氏だった。その豪腕ぶりに表立った抵抗はなく、ワンバンク化は今年7月に実現。だがそれでも、みずほ上層部の病は治癒しなかった。

ワンバンク化の弊害

むしろ、より深刻化したといっていい。ワンバンク化によるポストの削減、人事体系の一本化などの改革は銀行内を活性化させるどころか、逆に内向きな、事なかれ主義を醸成したからだ。おまけに優秀な人材ほど外部に出してきた結果、上層部には転出人事を取り仕切った人事畑など上意下達型の人材が残った。そのため現場の正確な情報がトップに上がらない構造になってしまった。

ある幹部はこう話す。「取締役会は、佐藤さんの独演会。誰も意見など言わずに佐藤さんの話に黙って聴き入っているだけだ」。ここからも、経営幹部間の情報共有の危うさが浮かび上がってくる。

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