身内で傷の舐め合い、終わらぬ「みずほ危機」 どうなる、みずほ。週刊東洋経済緊急ルポ<1>

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若返りのショック療法

危機は終わっていない。しかし、上層部には早くも楽観的なムードが漂う。特に幹部たちは旧行系列の関連会社における好待遇のポストを求め、「関連会社詣でが始まっている」(みずほ関係者)という。

あえて佐藤発言を使えば、上層部が風土病に冒されていることは間違いない。母体3銀行の確執と、それに基づく微妙なポストの分け合いにより生じている風土病だ。11年3月、2度目のシステムトラブル発生直後、本部の企画担当役員が社内メールを通じて全国の支店長に対し初動で行ったのは、対処方法の指示ではなく「西堀頭取に激励のメールを送ろう」という呼びかけだったのだから、深刻さがわかるだろう。

みずほ銀行にはこれまで社外取締役がいなかったが、11月1日付で元最高裁判所判事の甲斐中辰夫氏が就任する。佐藤氏は「社外取締役を2~3人に増やしたい」とも述べている。こうしたガバナンス改革が実を結ぶだろうか。

「佐藤氏がやるべきことは、経営陣の大幅な若返りしかない」──。金融庁幹部はこう指摘する。確かに、現状打開に必要なのは、ショック療法なのかもしれない。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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