アジアの日本人MBA留学生、急増の謎 香港科技大学(HKUST)MBAによる突撃取材??

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国際競争力のある都市には、国際的な大学が必要

最後に書き加えるが、アジアで競争力のある主要都市を見渡した時、どこでもやはり世界中からトップクラスの人材を引き寄せる教育機関があることが見て取れる。シンガポールにはインシアードのアジアキャンパスがあり、香港にはHKUSTがあり、上海には中国最高峰のMBAとされるCEIBSがあり、どこも世界中から優秀な留学生がこぞって押し寄せてきている。

これに対し東京に、世界中からビジネス分野のトップタレントが押し寄せるような教育機関があるかというと、残念ながらあまり思い当たらない。アメリカの主要都市を見ても、コロンビア大学のあるニューヨーク、ハーバードのあるボストン、スタンフォードのあるシリコンバレー、ブースやケロッグのあるシカゴというように、世界中からタレントを引き寄せる都市の競争力は国際的にも高い。

シンガポールや香港は世界的なMBAやEMBAプログラムを引き寄せるための都市間競争もしてきたが、東京がアジア経済の中心を再度目指すのであれば、世界中からトップタレントを引き寄せるような国際高等教育機関の創設か誘致が不可欠であろう。

それを自前でやるのか既存のブランド校を引き寄せるのか、海外トップ校を誘致するのか提携するのかの選択肢や、卒業後の外国人高級労働者に数ある選択肢から東京に残って働いてもらうにはっどうしたらいいのかという視点も、経済特区構想の議論に盛り込んでほしいものである(シンガポールや香港は世界的教育機関の誘致に多大な優遇制度を整備している)。

このコラムを書き綴っていたら、ちょうど今日、ランチを一緒にしたHKUSTのMBA学生二人から以下のようなメールが届いていたので、最後に匿名にした上でご紹介さしあげよう。

HKUST MBA生からのメール

 ムーギー・キム様
 突然のメール、失礼いたします。本日ランチをご一緒させていただきました、HKUST MBA在学中のXXと申します。
 本日は、お忙しい中お時間をいただき、また多々お話させていただき、誠にありがとうございました。いつも「グローバルエリートは見た」が更新されるのを心待ちにしておりましたが、実際にムーギーさんにお会いすることができ、感無量です。
 ランチの写真を添付しておりますのでご査収ください。まだ3カ月程度ですが、HKUSTに留学した感想などまた後日送らせていただければ幸いです。
 世界を飛び回り本当にお忙しいかと思いますが、お体ご自愛ください。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします!
 ムーギー様
 本日はお忙しいなか、お時間頂きありがとうございました。お会いできて光栄です。昼食までごちそうになってしまい、恐縮です。もうシンガポールに着かれた頃でしょうか。
 コラムの裏話やキャリアの話等を聞かせていただいて感動しました。XXさんに突撃取材なんて、普通はできないことを実行できるのは本当に尊敬します。次のコラムも楽しみにしております。
 添付の通り、写真をお送りいたします。MBA受験勉強中の励みとして読んでいた「グローバルエリートは見た」作者のムーギーさんとゴージャスなラウンジで楽しそうなポーズを取ってる自分を見ると、信じられない気もして、留学に来れて良かったとしみじみ思いました。
 HKUST体験記は何を書くか少し考えたいので、少々お時間ください。また、20か国以上から集まった面白い同級生がいますので、お時間あるときにぜひ一度HKUSTに遊びに来てください。

 

この文末でお分かりになられたよう、私は彼らに香港の家のラウンジでランチを御馳走した代わりに、HKUST留学体験記を書くようにお願いしたのだ。

フリーランチは存在しないとはよくいったものだが、彼等もとんだ労働を背負いこむことになってしまった。というわけで彼ら二人によるHKUST留学体験記が送られてきたら、また詳しく香港のMBA事情を皆様にお届けしたい。

そしてまた読者の皆様のなかのどちら様かが、本コラムを読んで“MBA留学なり、グローバルに視野を広げて働きたい”と思って下されば望外の喜びである。

(追伸)今度、我らが“グローバルエリートは見た!”で海外MBA留学特集を書くので、MBA留学経験者ないし留学中の方はこちらまで、MBAいってよかったこと/悪かったことを、どの学校/国かも含めてお教えいただければ、その特集号で匿名扱いにて、皆様に紹介させていただきたいと思う。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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