吉野家・はなまる・ガスト「共通定期券」の衝撃

販売価格300円、どれだけお得なのか?

吉野家の河村泰貴社長(左)とすかいらーくレストランツの崎田晴義社長(中央)は食事をする仲だという。右は、はなまるの門脇純孝社長(写真:尾形文繁)

さらに進化したのが2017年の秋。はなまると、同じグループ傘下の吉野家がコラボレーションして「はしご定期券」を売り出したのだ。吉野家の河村泰貴社長は「はなまるの成功に吉野家が乗っかった」と笑顔で振り返る。

男性ビジネスパーソンが主な客層である吉野家と、女性客の割合が比較的高いはなまるが協力することで、グループ内での相互送客を実現。定期券の提示率もコラボ前の約10%から20%に上昇した。

オファーしたのは吉野家だった

今回の取り組みも、吉野家、はなまる、ガストの3ブランドで相互送客するのが最大の狙いだ。ただ異例なのは、吉野家HDとすかいらーくHDという企業の垣根を越えた合同定期券を発行するという点だ。なぜライバル企業と手を組んでまで、割引キャンペーンを実施するのか。

今回の協業は今年の春、吉野家HDからすかいらーくHDに打診をしたのがきっかけだった。吉野家がオファーした理由は、利用客から多く寄せられたある意見だ。過去に吉野家とはなまるで定期券を発行した際に、利用客から「定期券を使えるブランドや店舗を増やしてほしい」という声が数多くあったという。

吉野家HD傘下には、吉野家とはなまる以外にも、「ステーキのどん」や「海鮮三崎港」といった業態があるものの、店舗数では吉野家やはなまるに及ばない。利用者が定期券を広く使えるようにするには、吉野家より店舗数の多い外食チェーンと手を組むほうがよい。吉野家HD側にとっても、これまで吉野家やはなまるを利用したことのない新規客の獲得が見込めるため、グループの外に目を向けた。

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