不安定すぎる日経平均は一段と下落するのか トルコリラ暴落や米中紛争の背後にあるもの

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とは言っても、客数は増えてはいるし、伸び悩みの背景には西日本での豪雨など特殊要因もあって、それほど懸念することとも考えがたい。また、この他には大きな材料はなく、このザラ場の下振れは腑に落ちない。そしてこの日の引けにかけては、米中で貿易問題について次官級の協議が行なわれるとの報道を受け、日経平均はほぼ前日の水準まで戻し、やはり不安定さばかりが目についた。

加えてこのところ目立つのは、日経平均とTOPIX(東証株価指数)の動きの「ばらばらさ」だ。前述の16日(木)も、日経平均が前日比でほぼ変わらずの水準まで切り返したのに対し、TOPIXは0.6%の下落で、乖離している。他の日でも、両指数の動きが違っていたことが多かった。

海外短期筋に振り回される日経平均先物

延々と先週までの相場付きについて述べてきたが、こうした(1)日経平均の乱高下と、(2)日経平均とTOPIXの乖離の背景については、海外投機筋による日経平均先物の売買があると推察される。一部では、CTA(Commodity Trading Advisor、商品投資顧問業者)と呼ばれる、商品先物やその他(株式、債券、為替等)の先物を中心に売買する、ヘッジファンドの一種が、日経平均先物を大幅に買ったり売ったりしている、と言われている。

内外の長期投資家が、ある程度個々の企業収益などの実態に沿って、現物株を売買し、それによってTOPIXの数値が形成されても日経平均自体はそうした海外短期筋の先物売買によって、大きく上下に振り回されている、ということなのだろう(もちろん、日経平均採用銘柄の株価が短期筋の投機的な思惑によって裁定取引を通じて乱高下すれば、ある程度TOPIXにも影響は生じる)。

日本の株式市場は、足元だけではなく、ずっと短期筋の先物売買に攪乱されることが多い。海外投資家にとっては、日本はホームマーケット、つまり保有する株式ポートフォリオの核となる自国の投資先ではなく、追加で購入する投資対象、つまり「核」に対する「へり」に過ぎない。その点は、15日(水)付の日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」(日本は「へり」か)でも述べたが、日本の株式市場が、「へり」としての海外投資家の売買に依存し過ぎているがゆえの脆弱さが、今回も表れたと言えよう。

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