日本の「失われた20年」を招いた決定的な弱点 インターネットの本質をとらえきれなかった
岩盤規制によって規制改革が進まないなかで何が起きるかといえば、外来種による日本市場の席巻です。
アマゾンは、日本の流通市場をすでに席巻しています。それは、日本の消費者が、古い体質の日本企業よりもアマゾンを支持しているからです。日本企業が、業界保護のために、ネットかリアルかの問題を議論しているうちに、アマゾンは、何でも買える、しかも安く買える時代を創ってしまいました。
先述したように、アマゾンのようなインターネットを駆使した新興企業を、「デジタル・ディスラプター(デジタルによる破壊者)」と揶揄する人がいますが、アマゾンはまさに、日本のいくつかの産業を破壊している最中といえるかもしれません。もう15年以上前の言葉になりましたが、「ロングテール」という言葉が、アマゾンのビジネスモデルを象徴した言葉として登場したことを覚えているでしょうか。実は、この「ロングテール」は、インターネットの本質を表している言葉でもあります。
インターネットの本質は、「自律」「分散」「協調」であり、従属関係はどこにもありません。自律した個々の「ノード」が分散し、協調することで世界に唯一のインターネットを形成しています。だから、「an internet」ではなく「the internet」なのです。
通信工学ではなく、経済学に置き換えると、「ノード」は、「消費者」と「生産者」に置き換わります。すべての経済活動の原点は、消費者による「消費」にあります。
アマゾンを消費者が支持しているのは、大量には売れないものであっても、自分が欲しいものを扱ってくれているロングテールにその原点があるのです。
インターネットの本質
インターネットは、世界を一新しました。インターネットは、分散型です。ネットワークに接続された各ノードは完全分散型で、どこにも集中局がありません。インターネットが登場する前の電話交換網や大型コンピュータのオンラインネットワークなどは、必ず集中局があり、集中局が全体や部分を管理統括する役割を担っていました。
それでは、集中局がないインターネットの基本原理はどのようなものでしょうか。
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