夕食は「朝食から10時間以内」が望ましいワケ 深夜のヘビーな食事は体内時計を狂わせる
健康な食生活で最も重要なのは、何を食べるかではなく、いつ食べるかだ――。栄養学者たちの間で、そんな声が聞かれ始めた。
カギとなるのは、概日リズム(サーカディアン・リズム)と呼ばれる体内時計だ。この24時間周期の体内時計に合わせて睡眠や食事をとると、体のコンディションが抜群によくなるという。逆に、深夜にヘビーな食事をとることが続くと、体内時計がくるって、体重増や代謝障害になりやすい。
現代人は始終何かを口に入れてしまいがち
アメリカソーク生物学研究所のサッチン・パンダ教授によると、代謝アップに最もいいのは、朝食から8~10時間以内に夕食をすませて、翌朝までの14~16時間何も口にしないこと。これは人間の基礎代謝が約24時間周期になっていて、ホルモンや酵素のバランス、そして消化器系の働きが食事に最も適した状態になるのは、朝から午後にかけてである、という考え方に基づく。
現代人の多くは、朝起きてから寝る直前まで、しじゅう何かを口に入れてしまいがちだ。パンダの研究では、たいていの人は朝食から15時間にわたり断続的に何かを口にしている。起床すると牛乳やコーヒーを飲み、就寝時間近くまでワインを飲んだり、スナックをつまんだり、場合によっては、がっつり夜食をとったりする。
こうした食事方法は、人間の生理的なリズムに反すると、パンダは指摘する。かつて体内時計は視床下部にあると考えられていたが、20年ほど前から、すべての器官に1日の活動を決める時計があり、そのすべてが集合的に体内時計の役割を果たしていることがわかってきた。
たとえば、すい臓が分泌するインスリン(血糖値を下げる働きがあるホルモン)の量は、日中に多く、夜になると減る。腸にも、消化酵素の分泌量や、栄養素の吸収や老廃物の排出を調節する時計がある。何十億個もの腸内細菌も24時間周期で動いている。このリズムはDNAに刷り込まれており、あらゆる器官が毎日ほぼ同じ時間にスイッチが入ったり切れたりするようになっている。