秋の気分の落ち込み これってうつ病? 「憂鬱な気持ち」と「鬱病」の違い

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通常、仕事でのイライラを解消するため、スマホなどを楽しんで夜更かしすることはありがち。深夜2時、3時に眠って、翌朝6時に起きるのがツライ。これは単なる寝不足ということになる。うつ病のサインでは、通常どおりにベッドに入っても、夜明けよりずっと前の深夜に目覚めてしまうのが特徴。しかも、朝の気分の落ち込みが激しい。それを見逃さないことが肝心と言える。

薬で症状が改善しない

単なる気分の落ち込みやイライラだけではなく、早朝覚醒と朝のツライ気分。そんなうつ病の症状は、1度ならず2度も、3度も起こり、症状が悪化していく。出勤のために駅に向かう足は鉛のように重く、さらに玄関で靴を履く元気も失うばかりか、朝食のはしの上げ下げさえもできないといった症状も伴うようになるそうだ。

もちろん、落ち込んだ気分を抱える誰もが、うつ病になるわけではない。ただし、従来から、まじめで几帳面、正義感や責任感が強い、他人に気を遣うなどの性格は、うつ病になりやすいと言われるが、近年、そんな性格に当てはまらない人もうつ病になっている。

「ひどい気分の落ち込みで仕事に手がつかなくても、週末の趣味やデートでは気分がよくなる患者さんはいます。新型、現代型、未熟型、逃避型と、新たな呼称で呼ばれることがあるのですが、そもそも若い世代の人は、自分のライフスタイルを大切にする傾向がある。結果として、従来のタイプに当てはまらないケースが生じているのです。また、治療薬にも関係しています。抗うつ薬の一種『選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)』といった比較的新しい治療薬は、昔の薬と比較して副作用は少ないものの、効き目もほどほど。不安や悲しい気持ちは抑制されても、やる気やうれしい気持ちなどが戻りにくい。プライベートのデートやゴルフは楽しめても、仕事に対する充実感などは戻りにくいのです。それが、新たなタイプの症状に拍車をかけていると思います」

こう話す古賀教授によれば、薬の治療で100%完治するのは患者全体の半分以下。薬で効果が得られない場合は、脳機能を活性化するため、磁気によって脳内に電流を流す「経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激法」や、全身麻酔後に直接頭に電流を通す「無けいれん電気けいれん療法」などもある。しかし、風邪のように1週間程度で完治するとはいかず、治療は長期間にわたることが珍しくない状況だ。

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