須田:今の若者がかつてのヒルズ族みたいな生活にあこがれないのは、ヒルズ族みたいな金持ちが近くにいないからだと思います。いないから想像できない、想像できないからその世界に行ってみたいと思わない。
原田:須田くんは金持ちにあこがれない?
須田:僕はわりと金持ちになりたいと思ってますけど、高校までは人並みでいいという意識でした。どうして意識が変わったかというと、大学に入ったときにお父さんの年収が3、4000万円の子が近くにいたんです。彼はやっぱりたたずまいが違ってたんで、それを見て自分もそのレベルにいけたらいいなあと。
樋川:私が稼ぎたい志向なのもそうです。おじいちゃんが官僚かなにかの男の子が、クラブでシャンパンを2000万円分入れてて(笑)。そういう存在を近くで見ちゃってると、ああ、お金あったほうが絶対いいじゃんって思ってしまうんですよ。
原田:クラブで2000万円のシャンパンを開ける学生って……。絶対ろくな大人にならないよ(笑)。昔の官僚は今と違って稼げたみたいだけど、彼のおじいちゃんも、まさかそんな使われ方をすると思っていなかったんじゃないかな。でもさ、それこそ身の丈以上の消費の仕方だから、現実的な君らはそこまでの消費にあこがれないんじゃないの? 年収1000万円じゃ2000万円のシャンパンを開けられないよ?
樋川:私はそこまでは求めませんけど、すごいとは思うし、触発はされます。
須田:ただ、今の学生って親がすごく金持ちでも、本人はユニクロを着てる人も多い。だから金を持ってる人間のなんたるかを想像しにくいかもしれません。僕、大学に入学していちばん最初に話しかけた女の子が、某超大企業の会長のお孫さんだったんですが(笑)、格好は普通だし、格別お金を使ってるようにも見えませんでした。
原田:以前、日本の富裕層研究をやって、『黒リッチってなんですか?』(集英社)という本を共著で書いたんだけど、成り上がりではない、祖父母や両親が金持ちの日本のクラシカルなリッチは、きちんとした教育を受けているケースが多い。彼らは自分たちの金持ちぶりを見せびらかしたりはしないんだよね。金持ちが日本社会であまり顕在化しないのも、若者が金持ちを目指さない理由のひとつかもしれない。
40歳では「早く帰って子どもの顔を見たい」
原田:じゃあ自分が40歳になったらどんな働き方をしていたいか、どういうワーク・ライフ・バランスでありたいかを聞かせてくれるかな。まずは男性から。
須田:40歳では夜7時か8時には帰宅したいです。理由は子どもとの時間を取りたいから。うちの親は僕が小さい頃からずっと毎日夜7時に帰ってきてくれていて、それがすごくうれしかったんですよ。30代前半には結婚して、40歳時点では子どもをふたり欲しいです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら