知らないと怖い「睡眠」の常識・非常識 不眠だと「生活習慣病」の発症率が2倍に

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「不眠を抱えている人は、そうでない人と比べて、生活習慣病の発症率が2倍になると報告されています。30分以上寝つけない、夜中に何度も目が覚めることが週2日以上あり、それが睡眠環境を整えても1カ月以上続くようならば、日本睡眠学会(※)の認定医を受診しましょう」と古賀先生はアドバイスします。

不眠に加えて、頭痛、めまい、耳鳴り、下痢や便秘、手足のしびれなどの体調不良が伴うときには、うつ病の可能性があるので専門医に相談を。

■ご存じですか?不眠

不眠症とは?
・よく眠れない日が週に2日以上ある
・床に就いてから眠るまでに2時間以上かかる
・睡眠途中に2回以上目が覚める
・普段より2時間以上早く目が覚める→上記4項目の状態が1カ月以上続く
・そのために苦痛を感じる、社会生活、職業的機能が妨げられる状態
■不眠に悩んでいる人は?

60歳以上の3人に1人
睡眠リズムや体内時計の乱れなどで、60歳以上の3人に1人は、不眠に悩んでいるといわれます。

ノンレム睡眠もレム睡眠もどっちも大事!

睡眠は、心身に影響を及ぼすといわれ、特に年を取るにつれ、老化を遅らせるためにも重要な役割を果たします。大切なのが睡眠中のノンレム睡眠とレム睡眠です。ノンレム睡眠は、脳が休息してぐっすり眠る状態で、寝入ってから30~60分程度で最も深い眠りに入ります。このとき、成長ホルモンの分泌が高まり、肌荒れや内臓などの傷んだ組織を修復し、健康に役立つ作用が促されます。老化が進む体には、ノンレム睡眠は欠かせないともいえます。一方、深い眠りのノンレム睡眠の後に、脳が覚醒して体が休むレム睡眠が10~20分程度訪れます。レム睡眠も、老化を防ぐために欠かせません。

「日中活動しているときには、視覚や聴覚、味覚などの五感により、たくさんの情報が脳に蓄えられます。その中で、必要な情報と不必要な情報を仕分けするのが、レム睡眠のときなのです。いわば記憶の調整と学習能力を高めるために、レム睡眠は重要な役割を担っているのです」と古賀先生は説明します。

ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すことによって、体の健康は守られ、脳の記憶も整理されるため、このリズムが乱れると心身の健康が損なわれ、老化も加速することにつながります。それを防ぐには、毎日7~8時間、規則正しく眠ることを心がけることが何よりです。

「高齢になるにつれ、ノンレム睡眠は浅くなり、レム睡眠の回数も減る傾向にあります。不規則な睡眠はそれを助長します。規則正しい生活で、ぐっすりと眠ることが大切です」と古賀先生。

■もしかしてあなたは「かくれ不眠」? あなたの「不眠症度」チェックシート
□寝る時間は決まっておらず、毎日ばらばらである
□よく昼間に居眠りしてしまうことがある
□起きた時に「ぐっすり寝た」と思えない
□寝つきが悪いことが多い
□夜中に何度か起きてしまうことがある
□思ったよりも早く起きてしまうことがある
□集中力が途切れがちで、イライラすることが多い
□やることがあると、寝ないで夜遅くまで頑張ってしまう
□眠れないのは異常ではないと考えている
□平日にあまり寝られないため、休日に「寝だめ」をする
□自分は寝なくても大丈夫な方だ
□最近、面白そうなことがあってもあまりやる気が出ない

当てはまる項目が4個以上の人は要注意! 不眠症は、不規則な生活習慣や強いストレス、眠りが浅いなどさまざまな要因が絡みます。規則正しい睡眠時間の確保と生活習慣の見直し、ストレス解消などに取り組みましょう。放置しないように心がけることが大切です。

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