LINEペイ、「客にも店にも大奮発」を貫く理由 手数料「3年間タダ」の先に描くビジネスとは?
LINEペイが利用者獲得と両軸で進めるのが、加盟店の開拓だ。同社は2018年中に決済対応箇所(自動販売機等も含む)を100万まで増やす計画を掲げる。現在までに9.4万箇所を独自開拓したほか、今秋からはクレジットカード大手・ジェーシービーが展開し、おサイフケータイ(非接触型)の決済で72万店の加盟店を持つクイックペイと新たに提携、一気に加盟店を増やす。
100万箇所という目標達成に向けては、大規模チェーンの開拓はもちろん、「パパママストア」といわれる中小規模事業者への訴求も重要になる。そこでLINEが進めてきたのが、店舗向けのLINEペイ導入形態の多様化だ。事業者の規模やニーズに合わせ、今後投入を予定するものを含めすでに5つをラインナップする。ライバル社にもここまでそろえる例はない。

主に大規模事業者向けに提案するのは、POSレジ改修や、アリペイ、ウィチャットペイなどの決済にも対応する「スターペイ」端末の導入。一方、イベント会場や屋台の決済には、店頭に電子機器のいらないプリント型が重宝されている。この中間的な役割を担う手段として、8月からはスマホ端末で決済できる専用アプリの提供を加盟店向けに開始、また今年中にLINEペイ特化型の独自端末も投入する予定だ。
加盟店が負担する手数料を3年間無料に
そして今回投入した店舗用アプリについては、通常決済利用時に加盟店側が負担する手数料を3年間無料とした。「加盟店にとっての導入のハードルを探し、それをクリアするサービスを出すのが自分たちの役割。3年後には手数料をいただくが、まずは導入してもらい、生産性向上や業務改善を実感してもらいたい」(長福COO)。

決済事業者の“儲けの源泉”である手数料収入を犠牲にする大胆な戦略といえるが、一方で、LINEの出澤剛CEOは「手数料だけで儲けるモデルは今後徐々に少なくなっていくのではないか」と指摘する。特に、利用者ごとの傾向をつかんでサービスのパーソナライズ、レコメンドなどを行っているネット企業にとって、実購買データは貴重だ。「決済で集まるデータによって広告、金融など、ほかの事業領域がさらに盛り上がるように掛け算をしていく」(同氏)。
ここに目を付けるのはLINEだけではない。実際、スマホ決済領域ではプレーヤーが乱立する。従来のライバルである楽天の「楽天ペイ」、独立系の「オリガミペイ」などに加え、フリマアプリのメルカリが投入に向け準備する「メルペイ」も、加盟店開拓を開始している。直近では、ソフトバンクとヤフーの合弁による新サービス「ペイペイ」も発表された。ペイペイはLINE同様、今秋のサービス開始時から3年間の決済手数料無料を武器に加盟店開拓を進める方針だ。
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