大塚家具、再浮上に欠かせない「人心」の重み 従業員の待遇悪化が影を落としている
そもそも、大塚家具の従業員の給与は2015年12月期時点でも決して高い水準にはありません。東京商工リサーチによれば、2017年決算における上場2681社の平均年収は、599万1000円(中央値586万3000円)です。
平均年収が1000万円を超えているような会社ならばともかく、500万円弱の年収から60万円近くもダウンしたことは従業員の生活に大きな影響が生じます。
大塚家具の従業員数は2015年12月期の1744人から2017年12月期には1489人と、255人も減っています。店舗閉鎖など事業規模の縮小もあったとは思いますが、収入の減少に苦しんで不本意ながら退職を選んだことによる従業員の流出も少なからずありそうです。
間接部門のスリム化が遅れている
2つ目の問題点は、経営効率の改善や人員配置がうまくいっていないのではないかということです。
大塚家具の2015年12月期は売上高580億円に対して、2017年12月期は410億円まで下がりました。これに伴って従業員数が減っているのは自然な流れです。ただ、問題は従業員1人当たりの売上高が3325万円(2015年12月期)→2753万円(2017年12月期)と減少傾向にあることです。
あくまでも数字を読み取っての推測になりますが、売り上げを上げられる経験やスキルのある人材が流出している可能性もありそうです。大塚家具がさらなる縮小均衡を避けるためには、これ以上の人材流出を防ぎ、1人当たりの売上高を向上させる施策を打つことが人事戦略としては必要になってくるでしょう。
これに関連してもう1つ気になることは、本社部門が肥大をしている可能性があるということです。本社所属の従業員数は2015年12月期に254人でしたが、2017年12月期は265人に増えています。
売り上げが低迷している場合は間接部門のスリム化を図ることが経営の定石ですが、大塚家具の場合、会社全体の要員数が減少しているのに、逆に本社所属の従業員数は増加傾向にあることが筆者は気になりました。
さらに言えば、有価証券報告書で本社所属に分類されている従業員数が増えているだけではありません。2015年の有価証券報告書ではコントラクト(法人営業部門)が本社所属に含まれていたのですが、2016年以降は、コントラクトは本社所属に含まれていないので、数字上の見た目以上に間接部門の従業員数が増えているように見受けられます。
会社の機能として間接部門はもちろん必要ですが、利益を生み出す役割ではないので、間接部門のスリム化が遅れていることも経営効率の悪化の一因になっているのではないでしょうか。
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